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富士正酒造(静岡県富士宮市根原)【富士山麓老舗蔵元】

グルメ
By: Takeshi Kiriya
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創業慶応二年(1866年)の伝統の酒蔵

静岡県富士宮市根原の「富士正酒造」は創業慶応二年(1866年)の歴史と伝統のある酒蔵です。慶応二年といえば徳川幕府第14代家茂、第15代慶喜の時代で、150年近い歴史があります。現在は8代目当主が歴史と伝統を守って地酒を造り続けています。代表的銘柄は「千代乃峯」、「富士正」、「げんこつ」などで、主に地元で消費されています。蔵でも直売されていますが、市内酒屋、スーパー、そして「道の駅朝霧高原」でも販売されています。

「地酒」が豊富な富士宮市

富士宮市は富士山の湧水が豊富で、「富士正酒造」の他にも「富士錦酒造」「牧野酒造」「高砂」の酒蔵があり、昔から酒造りが盛んです。「富士正酒造」は1866年(慶応二年)、「富士錦酒造」は1688年~1703年(元禄年間)、「牧野酒造」は1743年(寛保3年)、「高砂」は1820年(文政年間)創業と百年から三百年にも渡る歴史があります。富士宮市は「白糸の滝」「富士山本宮浅間大社」「湧玉池」「陣馬の滝」など各所に富士山の湧水が出ており、酒造りには絶好の場所だったといえます。

「富士山の湧水」を使用した地酒

 「ふじやま」さんは酒に関しては素人なので偉そうな事は言えませんが、酒蔵の特色は「杜氏」と「水」にも左右されるそうです。杜氏が違えば酒の造り方や種類も違います。しかし、どの蔵も富士宮で富士山の湧水を使用しているので、酒質はその湧水の影響を受けています。富士宮で採れる「富士山の湧水」はバナジウム等ミネラル豊富ですが、硬度は37.7mg/l(湧水のデータがないので水道水の場合<富士宮市HPより>)と軟水に分類されます。飲み口は柔らかくてやさしい感じの水で、富士宮の地酒も全般的に柔らかい口当たりのものが多いです。

富士正の「酒蔵漬」

「富士正酒造」では自前の酒粕を使った白瓜の粕漬「酒蔵漬」を販売しています。「酒蔵漬」とは要は「奈良漬」の事で瓜の粕漬けです。富士正では酒の製造過程で当然酒粕が出るので、その酒粕で白瓜を漬け込み、酒蔵の漬物という事で「酒蔵漬」と名づけています。厳選された白瓜も素晴らしいですが、酒蔵ならではの自慢の酒粕は風味も味も良く、酒蔵が漬けた「酒蔵漬」と呼ぶに相応しい一品です。

「ふじのみや強力」

  「ふじのみや強力」は富士宮で育てた酒米「誉富士」を原料に「富士正酒造」が製造した富士宮の「地酒」です。「地酒」の定義は広範にわたりますが、一般的には「その土地で生産された酒」、「その土地特有の酒」を指します。普通に「地酒」といっても原料のお米は必ずしもその土地で作っているわけではありません。米にもお酒づくりに適したお米、いわゆる「酒米(酒造好適米)」があるわけで、いいお酒をつくるにはやはりいい酒米でなければならないのです。「酒米」の代表格といえば「山田錦」で兵庫県、岡山県、福岡県で主に生産されていますが、全国の地酒メーカーでも原料として使用されています。「山田錦」がいくら酒造りに優れた品種といえども、それが地元で作られていなければ厳密に「地酒」といえるかという意見もあります。そんな意見がある中で生まれた「地酒」が「ふじのみや強力」です。「ふじのみや強力」は静岡県のオリジナル酒米「誉富士」を富士宮市で生産し、「富士正酒造」が製造したお酒です。「誉富士」を50%まで精米し、純米吟醸酒にしてあります。飲み口はフルーティーで非常に飲みやすいお酒です。富士宮で生産したお米を富士宮の酒蔵がお酒にする、これこそが「富士宮強力」であり、富士宮の「地酒」です。

「富士正酒造」&「牧野酒造」合同蔵開き

「富士正酒造」では2010年から「牧野酒造」と合同で蔵開きイベントを開催しています。第1回2010年は2月7日、第2回2011年は2月6日と2月上旬に開催されています。「富士正酒造」から「牧野酒造」へは徒歩10分と近い為、連携して同時開催となったようです。富士正は創業1866年、牧野酒造は創業1743年とどちらも歴史は古いですが、蔵開きのイベントが2010年が初めてとは意外でした。2つの蔵は近いので同時開催はイベントとして大成功のようです。富士正は「千代乃峯」「げんこつ」、牧野酒造は「白糸」「富士山」の代表銘柄を中心に、試飲・即売会を実施。他にも甘酒の振る舞いや「富士宮やきそば」「富士のにじます」の販売、焼き鳥やおでんなどの販売もありました。地元「上野南条太鼓」の演奏もあり、大賑わいでした。

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