【世界遺産富士山】白糸の滝(静岡県富士宮市上井出)

国の名勝・天然記念物・世界文化遺産の滝

「白糸の滝」は、静岡県富士宮市の代表的な観光地の一つで、国の名勝及天然記念物です。平成2年には「日本の滝百選」にも選ばれ、年間70万人程の観光客が訪れる全国でも有名な観光名所となっています。世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一つとして登録されています。

富士山と白糸の滝
富士山と白糸の滝

白糸の滝は、富士山の雪解け水と雨水が地下を流れ、上部の水を通す新富士火山層と下部の水を通さない古富士火山層の境目から湧き出ています。滝の高さは約20メートル、幅は約150〜200メートルにわたる湾曲した絶壁から大小数百の滝が流れ落ち、白い糸を垂らしたように見えるため、この名前が付けられています。高さ20m、幅200mにも及ぶ滝は、本滝の一部を除いて、全て富士山の雪融け水が湧水として流れ出しています。

白糸の滝の水温は年間を通じて約12℃で、毎秒1.5トンの水が流れ出しています。水源は主に富士山からの伏流水であり、透明度が非常に高く、美しい景色を提供しています。滝の周辺は大自然に囲まれており、特に新緑や紅葉の季節にはその美しさが際立っています。

歴史的に見ると、白糸の滝は戦国時代末から江戸時代初期に富士講の開祖とされる長谷川角行が修行を行った場所として知られており、富士講信者の巡礼・修行の場となりました。滝の近くには、富士講の信者が建てた「食行身禄の碑」も存在しています。

幾年もの歳月を経て、雪融け水が富士山地下の溶岩層を巡り、岩の隙間から流れ落ちる水流が滝を形成し、その水流が絹糸の様に流れ落ちる様から「白糸の滝」と名付けられています。

白糸の滝
白糸の滝 / photo by CLF

滝までのアクセスは、JR身延線富士宮駅から車で約30分、またはバスで約24分で行くことができます。駐車場や車椅子対応のトイレも整備されており、観光客に親しまれている場所です。

源頼朝も認めた「白糸の滝」の美しさ

白糸の滝
白糸の滝

鎌倉幕府を開いた源頼朝が富士山麓の富士宮で「富士の巻狩り」をしたのは有名ですが、その源頼朝が「白糸の滝」を訪れた際にその美しさを和歌で詠んでいます。

その一句とは、「この上に いかなる姫や おわすらん おだまき流す 白糸の滝」です。

「おだまき」とはつむいだ麻糸と空洞の玉のように巻いたもので、絹糸の様に流れる滝の様子を表現しており、また「いかなる姫や」と女性的な美しさを強調しています。

白糸の滝周辺案内図
白糸の滝周辺案内図

「白糸の滝」に続く遊歩道に滝の説明板がありますが、下記の通り書かれています。

…「名勝及び天然記念物 白糸の滝 昭和十一年九月三日国指定 「この上にいかなる姫かおわすらんおだまき流す白糸の滝」 この歌は源頼朝が詠んだと言われています。 

富士山の雪解け水が富士溶岩のすきまを通って地下にしみ込み、古富士泥流と呼ばれる不透水層の上を伏流水となって流れ下ったものが浸食をうけた溶岩層から湧き出したもので、高さ約二十米幅およそ二〇〇米の湾曲した絶壁の全面に、大小数百の滝がすだれのように数千条の絹糸となって流れ落ち、白糸の名にふさわしく美しい景観を見せています。 

また左側には、曽我兄弟の仇討ちで名高い音止めの滝が勇壮なひびきを立てています。 白糸の滝を守る会」

音止めの滝

音止めの滝①
音止めの滝②

「白糸の滝」へ至る遊歩道の途中には、「白糸の滝」に勝るとも劣らない「音止めの滝」があります。

「白糸の滝」ほどの幅はありませんが、高さは25mあり滝の流れ落ちる音はまさに大迫力です。その名前の由来通り、滝の流れ落ちる音は男性的な豪快さで、女性的な繊細さを持つ「白糸の滝」とは対照的です。

そのあまりの音の大きさから、「曽我兄弟」が仇討ちの打合せができず、「大事な話をしているのに、心無い滝だなあ。」とつぶやいた所、その音が止んだという言い伝えから「音止めの滝」と呼ばれています。

曽我兄弟(祐成・時致)は、1193年の富士の巻狩りの際に父の仇討ちを果たしました。兄祐成はその場で討たれ、弟時致は捕らえられ処刑されました。この事件は「曽我物語」として広く知られ、日本三大仇討ちの一つとされています。白糸の滝近くには「曽我の隠れ岩」や「音止めの滝」など関連する史跡があります。

白糸の滝へのアクセス方法

白糸の滝への階段

「白糸の滝」手前の駐車場から5分程歩くと、いよいよ滝へ向かう階段が見えてきます。階段は傾斜が少しあるので高齢者の方には少々キツイかもしれません。階段を下りた先には滝を間近に見れる滝見橋があります。

白糸の滝と滝見橋

ただし、階段手前からでも遠くから「白糸の滝」を眺める事ができるので、階段を降りられない場合でも「白糸の滝」を全く見れないわけではありません。

白糸自然公園の駐車場から階段のない坂道を利用する事で車いすでも滝近くに行けるようになりましたが、利用には注意が必要です。全長550mで高低差40mの長距離急坂の為、車椅子を押す介助者には体力が必要です。また、急な坂になっているので坂を下りるときは車椅子を後ろ向きにするなどの注意が必要です。実際の利用体験は下記の記事や動画を参考にして下さい。

遠くから眺める名勝「白糸の滝」

「白糸の滝」を遠くから眺めると、滝の雄大さと美しさを感じる事ができます。

滝の傍まで行けば大迫力の滝の素晴らしさを味わえますが、健常者の方でも、ふと足を止めて遠くから「白糸の滝」を眺めると、近くで見るより趣が異なる滝を見ることができます。

溶岩層の岩肌から、幅200メートルもの長さに渡って絶え間なく流れ落ちる様は、まさに芸術的です。

白糸の滝周辺の売店

「白糸の滝」へと続く遊歩道では、各種食事処や土産店があり、観光客を対象にした店が色々あります。富士山周辺の観光客、とりわけ富士宮市を訪れる観光客の大多数が一度はやってくるのが「白糸の滝」ですから、その観光名所の近くに各種の店が立ち並ぶのは当然です。夏の観光シーズンには、全国から観光客が集まり大変な賑わいを見せていますが、冬の平日ですと比較的空いています。

静岡県富士宮市の白糸の滝周辺には、「富士山・白糸ノ滝テラス」という施設があり、複数の売店が集まっています。このテラスには、観光客に人気の店舗がいくつかあります。

まず、「TAKIMOTOYA SOUVENIR&CAFE」では、地元の特産品や富士山関連のお土産を販売しています。特に人気なのは、朝霧高原牧場の搾りたて牛乳を使用したソフトクリームで、そのクリーミーな味わいは訪れる人々に好評です。また、ニジマスや岩魚の塩焼き、五平餅などのテイクアウト商品も提供しており、観光の合間に手軽に楽しむことができます。

次に、「SHIRAITO GENERAL STORE」では、キャンプグッズや土産品を取り扱っており、ドリンクメニューにはソフトクリームやシェイクも含まれています。これらの店舗は、白糸の滝を訪れた観光客にとって重要な休憩ポイントとなっています。

さらに、「平石屋」では富士宮やきそば専門店として名物のやきそばを提供しており、やきそばセットは820円でテイクアウトも可能です。地元の味を手軽に楽しむことができるため、多くの人々に利用されています。

また、「するがや」では桜えびや花豆、桃、ぶどうなどの地元特産品を販売しており、新鮮な食材を求める人々に人気です。そして、「だんの家」では静岡限定の商品や富士山キャラクターグッズを多数取り揃えており、お土産選びにも最適です。さらに、この店舗の2階には「富士山美術館」があり、江戸時代から明治時代にかけて描かれた富士山をテーマにした美術品を無料で鑑賞することができます。

これらの売店では、地元の特産品や富士山関連のお土産、軽食など様々な商品が楽しめるため、多くの観光客にとって魅力的なスポットとなっています。

映画「西遊記」のロケ地

「白糸の滝」は香取慎吾主演の映画「西遊記」のロケ地にもなった有名地です。西遊記はTVドラマから始まり、後に映画されましたが、TVドラマでは孫悟空と魔王の対決シーンが撮影されました。対決シーンに相応しい迫力のある場所として「白糸の滝」が選ばれたようです。後に映画化された際には、三蔵法師一行が船で滝つぼに到着する場面が撮影されています。神秘的な美しさを誇る「白糸の滝」ですから「西遊記」のイメージにマッチしたようです。

間近で見る神秘的な「白糸の滝」

階段を降りた先では、名勝・天然記念物の「白糸の滝」を眼の前に見る事ができます。

天然記念物とされるだけあって、その迫力と美しさは眼を見張るばかりです。

大自然に囲まれた場所で、辺りは物静かな環境の中で滝の流れ落ちる音が響き渡ります。

滝の水しぶきが周囲一帯を覆い、涼しさを感じます。特に真夏の夜に訪れれば、最高の避暑地になります。

又、滝から流れ落ちる水は富士山の雪融け水で綺麗に澄み渡り、時には魚を見かける事もあります。

もちろん滝そのものだけでなく、周囲の自然の美しさも加わって「白糸の滝」を名勝・天然記念物たらしめているのであって、新緑の季節や紅葉の時期などに訪れれば、一層滝の美しさが映えるというものです。

周辺観光案内

「白糸の滝」は、富士山西麓の富士宮市にあり、大自然に囲まれて富士山の恵みを満喫できる観光名所です。国道139号線から数キロ離れている程度でアクセスも良く、富士山周辺、朝霧高原、富士宮市の観光に訪れた際に気軽に立ち寄れます。駐車場からは徒歩でわずか10分ほどで滝まで行けます。

周辺には、ダイヤモンド富士で有名な「田貫湖」、ハイキングに人気の「小田貫湿原」、酪農地帯の「朝霧高原」など大自然を生かした観光スポットが沢山あります。

白糸の滝を訪れた後は田貫湖や朝霧高原もおすすめですが、食事をするなら「富士宮やきそば」が欠かせません。富士宮やきそばは元祖B級グルメともいえる料理で、今のB級グルメブームの火付け役ともいえます。白糸の滝からなら「むめさん」が近くておすすめです。

又、温泉でゆっくり休みたいのなら「風の湯」「天母(あんも)の湯」があります。

更に、地場野菜や地元の特産品が欲しいのなら、「道の駅朝霧高原」がおすすめです。

冬季以外で天気が良ければ「富士山五合目(富士宮口)」に登ってみるのも良いでしょう。標高2400Mの高所から見下ろす富士山麓から駿河湾へと続く景色は最高です。白糸の滝の景観も素晴らしいですが、快晴の日の雲一つない五合目から見下ろす景色はまさに絶景です。

詳細情報

  • 住所 – 富士宮市上井出
  • 電話 – 0544-27-5240(富士宮市観光協会)
  • URL- ①富士宮市役所「白糸の滝」 ②富士宮市観光協会
  • 営業時間 – 該当ナシ
  • 駐車場(白糸の滝観光駐車場) – 富士宮市上井出273-1 営業時間 9:00~16:30 駐車料金 普通車500円 (105台) バス1000円 (大型10台・マイクロ5台) バイク200円 (10台)
  • アクセス – ①東名富士IC、西富士道路、国道139号上井出ICを下り約5分(東名富士ICから約40分) / ②中央高速河口湖IC、国道139号で約1時間、途中右折2km先(標識あり)

周辺地図

周辺観光情報

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