浅間大神を御神体とする浅間神社の総本宮
静岡県富士宮市の「富士山本宮浅間大社」は、浅間大神(あさまのおおかみ)を祀る全国1300余りの浅間神社の総本宮です。
浅間大社はもともと富士山の噴火を鎮めるため浅間大神を富士山麓に祀った事から始まります。
大同元年(806年)、平城天皇の命により坂上田村麻呂が富士宮市の現在の場所に社殿を建立し、浅間大神を富士山麓から遷し祀った事から浅間大社が生まれました。
日本一の霊峰「富士山」は古来山岳信仰の対象とされ、全国でも浅間大神を祀った神社が建立されてきましたが、それらの総本宮として富士山麓の浅間大社が以来伝承されています。
富士山頂を「境内」とする富士山信仰の神社
浅間大神を祀る富士山本宮浅間大社は富士山8合目より山頂までの約385万㎡の土地を境内としています。
厳密には登山道と旧富士山測候所を除きますが、浅間大社が位置する富士宮市街地の「本宮境内」に対して、富士山頂部(8合目以上)は「奥宮境内」と呼ばれています。
富士山を御神体とする浅間大社ですから、山頂部を境内として「富士山頂上浅間大社奥宮」が鎮座しています。
本宮の社殿は徳川家康が造営しましたが、その後8合目以上の富士山頂部を浅間大社の土地として認めて寄進しています。
現在でも富士山頂部は「境内」とされていますが、正確に土地登記されているわけではありません。
しかしながら、1974年の最高裁の判決では8合目以上の富士山頂部の土地は、浅間大社の「境内地」、すなわち所有地である事が明確になりました。
毎年5月に源頼朝由来の「流鏑馬祭り」
富士山本宮浅間大社では、毎年5月上旬に伝統行事の「流鏑馬祭り」を行っています。
「流鏑馬祭り」の由来は、建久4年(1193年)に源頼朝が富士の裾野で巻狩をした際に武運長久・天下泰平を祈り流鏑馬を奉納した事に遡ります。
流鏑馬は以来武芸の一種として源氏を中心に武士の間で発展してきましたが、一方で神社の行事、すなわち神事として執り行われてきました。
浅間大社では、独自の古式流鏑馬が伝統行事として、現在に至るまで800年以上も伝え続けられています。
境内ではその流鏑馬を行っている射手を模った銅像が飾られ、浅間大社と流鏑馬の関わりの強さを物語っています。
静岡県富士宮市の伝統催事の中心地
大同元年(西暦806年)に造営され1,200年余りの歴史を持つ浅間大社は、現在まで催事、行事の中心地としての役割を果たし続けてきました。
浅間大社がある富士宮地域は景観、町並み、経済、産業も急激な時代変化の中で刻々と変わり続けてきましたが、浅間大社は昔の伝統、風習、文化、景観を守り続けています。
浅間大社では、「流鏑馬祭り」、「富士山お山開き」、「富士山祭り」、「富士宮秋祭り」などが毎年開催され、富士宮の伝統行事の中心地となっています。
時代が変わっても、親の世代が昔遊んだ祭りに、子供を連れて遊びに行く事ができるのは素晴らしいことです。
こうして「富士山本宮浅間大社」は、現代の中で富士宮市民の心の拠り所ともなっています。
特別天然記念物「湧玉池」
浅間大社の敷地内には、国の特別天然記念物に指定されている「湧玉池」があります。
「湧玉池」の名前の由来は、池の底から玉の様に水が湧き出す事にあります。
湧き出る水は富士山の雪融け水が地下の幾重もの溶岩層を抜けて、長い年月をかけて湧き出してくる「富士山御霊水」です。
古来より信仰の為富士登山をする折には、湧玉池で身を清めてから登山するならわしになってきました。
そうした富士山に深い関わりを持つ湧玉池は、水温も年間を通して13℃、水量は3.5リットル/秒あり、綺麗で澄んだ池になっています。
池には沢山の鯉が泳ぎ、近くには鳩の群れが見られるのが湧玉池の日常の風景になっています。
正面楼門の手水舎の「富士山の湧水」
「本殿」がある境内中央の楼門の左手には「手水舎(てみずしゃ)」という流水所があり、「富士山の湧水」で手を洗って身を清める事ができます。
特別天然記念物の「湧玉池」があるからには「富士山の湧水」が境内に噴出しています。
「手水舎」には、穴がくり抜かれた石の水桶があり、備え付けの柄杓(ひしゃく)で口を漱いで手を洗います。
富士山麓、富士宮市は富士山の湧水が豊富な場所です。
富士山を祀る神社である「浅間大社」を参拝するに当たっては、参拝前に手水舎で富士山の名水で身を清めましょう。
実際に富士山の湧水を飲みたい場合は湧玉池傍の水汲み場又は浅間大社南側の「お宮横丁」にある井戸が水を飲む事ができます。
町の中心部で自然を満喫できる
富士山のお膝元である富士宮市は自然豊富な地域で、市街地の中心地にある「富士山本宮浅間大社」でも富士宮ならではの自然を体感できます。
境内には沢山の木が植えられていて林の様になっており、境内の一角ではにわとりが何羽も走り回っています。
また、ものすごい数の鳩の群れが池の周りや公園内などで、バタバタと走り回ったり飛び回ったりしています。
一般の参拝者や近くの住民達がそれぞれパンやスナックをちぎってあげると、一斉にそのえさ目掛けて鳩が群がってきるという非常にのどかな風景が見られます。
また、その公園はそばに湧玉池からつながる神田川が流れ、広い敷地の中で子供用の遊具があって、なごやかな田舎の日常が見られます。
このように、浅間大社では、市の中心地にいるのに、つい仕事や家庭の忙しさを忘れて心安らいでしまう自然が今も残っています。
「桜の名所」の浅間大社
歴史と伝統ある「富士山本宮浅間大社」は500本以上の桜が咲く富士宮市の桜の名所でもあります。
ソメイヨシノがほとんどですが、シダレザクラ、ヒカンザクラ、フジザクラも境内各所に植えられています。
見頃は毎年3月下旬から4月初旬ですが、期間中は「桜まつり」も開催され、各地から観光客が訪れます。
総評:1,200年の歴史を守り続ける「浅間大社」
「富士山本宮浅間大社」は、時代が変わっても古くからの信仰や伝統が守り続けられています。
古来より富士山信仰の神社として、又全国に分布する浅間神社の総本山として重要な役割を果たし続けてきました。
その一方で、信仰の面だけでなく、地元富士宮地域の住民の生活、文化、行事の中心地としても大切な役割を担ってきました。
初詣、流鏑馬祭り、七五三、夏祭り、山開きなどの行事には決まって浅間大社に集まり、地域住民にとってはとりわけ馴染みの深い場所です。
こうして古来よりの伝統、信仰を守り続け、且つ地域住民に親しまれてきた浅間大社はいまでもその営みを続けています。
周辺観光案内
浅間大社のある富士宮市街には数多くのおすすめスポットがあります。
まず、浅間大社駐車場内には富士山特産品振興会の共同販売所の「ここずらよ」があります。
店内には富士の藪北茶、富士の地酒、菓子類など地元特産品が並んでいます。
又、浅間大社駐車場前の「お宮横丁」には富士宮やきそば学会のアンテナショップをはじめ、「富士宮やきそば」、「富士朝霧放牧豚」、「鱒バーガー」、「ジェラート」など地元の食材にこだわった食事処があります。
歴史と伝統のある浅間大社で参拝した後は富士宮の観光地といして名高い「白糸の滝」や「朝霧高原」に寄るのもおすすめです。
詳細情報
- 住所 〒418-0067 静岡県富士宮市宮町1-1
- 電話 0544-27-2002
- URL http://www.fuji-hongu.or.jp/
- 開門時間(11月~2月)午前6時~午後7時(通常)
- 開門時間(3月・10月)午前5時30分~午後7時30分(通常)
- 開門時間(4月~9月)午前5時~午後8時(通常)4月~9月
- 祈祷受付時間 午前8時30分~午後4時30分(神楽は午後4時まで)
- 駐車場 150台(200円/1時間) ※参拝時20分無料、以後有料
- アクセス ①東名富士インターより西富士道路経由で約20分 a.国道139号線沿い富士宮東高前交差点南へ富士宮市役所方面へ b.国道139号線と富士山スカイラインの交差点を南へ
周辺地図
周辺観光情報
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