富士山信仰の拠点
静岡県富士宮市村山の「村山浅間神社」は全国にある浅間神社の一社で、室町時代から江戸末期まで富士登山、富士山信仰の拠点となりました。
大宝2年(西暦702年)創建。かつては富士山村山口登山道(村山古道)として修験者が集まり、冨士修験の聖地として周辺に宿坊も栄えてきました。
時の権力者である今川氏の保護も受けて、社殿を寄進する事もありました。
水垢離場では修験者や登山者達が富士登山の前に人口の滝に打たれて身を清めて、登山の安全を祈願していました。
村山登山口は富士山登山道最古として栄えたのですが、明治維新の廃仏毀釈と昭和39年の「新大宮口登山道」として登山新道の開削、その後の村山口廃止によりかつてほどの賑わいはなくなりました。
富士宮市中心部には浅間神社の総本山「富士山本宮浅間大社」がありますが、村山は浅間神社の一社に過ぎないので規模は小さいです。
神仏習合の神社・寺院
神社では富士山の神でである木花之佐久夜姫命(木花開耶媛命)を祀っていますが、一方では大日堂で大日如来を祀っている「富士山興法寺」となっています。
こうして村山浅間神社では社殿と大日堂があり一つの境内で神仏を合同で祀る神仏習合の珍しい神社となっています。
明治時代の廃仏毀釈により神仏分離が図られましたが、現在でも同じ境内に浅間神社と大日堂があり、それぞれ宗教法人登録されています。
天然記念物の大杉と樹齢300年の銀杏
神社境内には樹高47m、目通り9.9m、樹齢1000年といわれる静岡県指定天然記念物(1956年5月24日指定)の大杉があります。
又、樹高16m、目通り9.2m、樹齢300年といわれる静岡県指定天然記念物のイチョウ(1968年7月2日指定)もあります。
「富士山山開き」と「富士山まつり」
毎年7月1日には富士山本宮浅間大社、富士山新五合目富士宮口、村山浅間神社の3箇所で富士山の開山を祝う「富士山山開き」と富士山祭りの開始宣言が行われます。
まず、浅間大社で富士山まつり開幕宣言、湧水献上、開山式典等が行われた後、村山浅間神社にて富士山入山式、正式参拝、お山開き式、開山宣言などが行われます。
村山浅間神社では昔の修験者が行ったとされる禊式が催され、地元の青少年達が裸で水に浸かって身を清める神事が行われます。
夜には浅間大社では手筒花火が披露されます。富士山山開きは富士登山シーズンの始まりを告げると共に登山者の安全を祈願する行事となっています。
世界遺産構成資産の一つ
村山浅間神社は世界文化遺産登録を目指す富士山の25の構成資産の内の一つとなっています。
世界文化遺産とされる予定の富士山は、正式名称が「富士山と信仰・芸術の関連資産群」として登録推進されています。
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