大正時代から伝わる「しぞーかおでん」
「静岡の名物」として脚光を浴びているのが「静岡(しぞーか)おでん」です。「静岡おでん」が始まったのは大正時代からで、地元には古くから親しまれて来ました。真っ黒いスープに、牛すじ、もつ、こんにゃく、そして黒はんぺんなど独特の具材で使った特徴のあるおでんです。昭和の都市開発で今は見る影もありませんが、昔は静岡の町に100軒以上もの屋台が並び、おでんの屋台もたくさんありました。現在では町の各地におでんの専門店や居酒屋で「静岡おでん」を扱っており、長い伝統と味を守り続けています。
静岡おでんの五カ条
「静岡おでん」には5つの特徴があり、「静岡おでんの五箇条」として知られています。その五箇条とは、①黒はんぺんが入っている、②黒いスープ(牛すじだし)である、③串に刺してある、④青のり・だし粉をかける、⑤駄菓子屋にある、以上です。
特筆すべきは5か条目の「駄菓子屋にある」でしょう。「静岡おでん」は元々は駄菓子屋で売られていました。静岡市内の駄菓子屋では鍋が普通に置かれていて、そこには串に刺さったおでんが売られていました。昔は子供が駄菓子を買うのと同じ様に、おでんをおやつとして買っていたそうです。駄菓子屋では丸テーブルの真ん中に穴が空いていて、おでん鍋が入っていて、客が座ってセルフでおでんを食べる様になっています。
今ではこうした駄菓子屋は少なく、居酒屋や和食レストラン等で「静岡おでん」を提供する場合が多いですが、元祖「静岡おでん」は駄菓子屋から始まったのです。
「静岡おでん」の真っ黒いスープ
「静岡おでん」の特徴の一つは「真っ黒いスープ」です。これは「牛すじ」と「濃い口醤油」がベースのスープですが、老舗のおでん屋ではスープを継ぎ足して使用しているので、真っ黒いスープになっています。老舗の鰻屋が秘伝のタレを何年も継ぎ足して使っているのと同様です。黒いスープといっても味は意外とあっさりしていて飲み易い。スープには牛すじ出しがしっかりと出ていて、これだけでも御飯が食べれそうです。老舗のおでんのスープは数々のおでんが煮込まれ、何回も継ぎ足しされているので、旨味エキスが凝縮されています。
「居酒屋系」のおでん横丁
「静岡おでん」の五箇条では「駄菓子屋にある」と謳っていますが、もちろん駄菓子屋だけにあるわけではありません。正確には「駄菓子屋にもある」といった方が良いでしょう。
一般的におでんといえば屋台とお酒を連想するわけで、静岡でもおでんを出すのは駄菓子屋よりも居酒屋の方が多いです。
実際、静岡市内には「おでん横丁」なるおでんを出す居酒屋街が6ヶ所あります。「青葉おでん街」、「青葉横丁」、「ちゃっきり横丁」、「青葉小路横丁」、「いかずちおでん街」、「縄のれん街」です。
お酒を飲まない方で昼間なら駄菓子屋のおでんがおすすめですが、酒もおでんも夜楽しみたいという方はやはり居酒屋を利用した方が良いでしょう。
B級グルメ「静岡おでん」
昔から庶民の味として親しまれている「静岡おでん」は、「富士宮やきそば」 と同じ静岡の「B級グルメ」です。B級グルメとは地域独特の安くて美味しい庶民料理です。
静岡おでんを提供する店は主に静岡駅周辺にあり、現在は「おでん横丁」に集中していますが、市内全域の駄菓子屋や居酒屋でも普通に提供されています。
2007年に開催された第2回B-1グランプリでは第3位を獲得し、一躍知名度を上げました。
おでんの黒いスープや黒はんぺんの独自性もあり、県内外から観光客が訪れる様になりました。
気軽に楽しめる「静岡おでん缶」
静岡の名物として話題の「静岡おでん」を気軽に楽しめるのが、「静岡おでん缶」です。「静岡おでん缶」は「静岡おでんの会推薦」の商品です。中身は静岡おでんの基本をしっかりおさえた「黒はんぺん」や「牛すじ」などの具材に「黒いスープ」が入っています。味がじっくり染み込んでいて、気軽に「しぞーかおでん」の醍醐味を味わえます。
静岡おでんの主役の一つ「黒はんぺん」
静岡おでんに欠かせない具材の一つが「黒はんぺん」です。静岡で「はんぺん」といえばいわしやさばをすりおろした黒いはんぺんを指し、特に焼津の黒はんぺんは特産品です。静岡県民はこの黒はんぺんが普通だと思っていますが、他県では白はんぺんが主流のようです。はんぺんが黒いのは骨や皮もまるごとすり潰しているからで、食感はつみれに近い感じです。「黒はんぺん」は生でそのまま食べてもフライにしてもおいしいですが、おでんにすれば味がじっくり染み込んで又格別の美味しさです。地元では又ビールのおつまみや子供のおやつとして気軽に食べられている庶民の味です。
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