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富士山周辺のB級グルメ

富士山周辺B級グルメ グルメ
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序章:富士山とB級グルメの魅力

富士山のまわりには、気取らないけれど一度食べたら忘れられない“ご当地の味”がたくさんあります。旅の途中にふらっと立ち寄れる専門店、商店街の食堂、道の駅や屋台まで、肩ひじ張らずに楽しめるB級グルメは、観光の合間にお腹も心も満たしてくれる存在です。

このエリアのB級グルメがおもしろいのは、土地の条件や暮らしの知恵から生まれた“理由のある味”が多いこと。麺のコシにこだわる地域、地元の野菜や水を活かす地域、加工の過程で出る副産物まで無駄なく使う地域――背景を知るほど、ひと皿の物語が見えてきます。旅の思い出は景色だけではなく、「なぜこの味になったのか?」という気づきと一緒に記憶に残ります。

もう一つの魅力は、観光とセットで楽しみやすいこと。世界遺産・富士山の眺望スポットや滝、湖、温泉、アウトドア施設が点在しているので、移動のついでに名物を挟み込むだけで旅程がぐっと充実します。たとえば午前はビュースポットや滝散策、昼はご当地麺、午後は湖畔やミュージアム、夕方は温泉、締めに軽く一品――そんな流れが組みやすいのも富士山周辺ならではです。

B級グルメは「手頃・気軽」というイメージがありますが、実際には地域ブランドとして育ち、街の元気を支える存在でもあります。お店ごとに味の個性があり、同じメニューでも“食べ比べ”が楽しいのもポイント。観光客はもちろん、地元の方の普段づかいの店に混じって食べることで、旅が少し“日常”に近づく体験ができます。

本記事では、富士山を囲む静岡側山梨側それぞれの名物を取り上げ、誕生の背景や特徴、旅程への組み込み方を分かりやすく紹介します。「初めてでも選びやすい」「家族・友人みんなで楽しめる」をテーマに、定番から新しいご当地メニューまでを網羅。読み終えたらそのまま地図アプリに落とし込めるよう、章末には観光と合わせやすいヒントも添えていきます。

この章のポイント

  • 富士山周辺のB級グルメは“理由のある味”。土地・暮らし・工夫が背景にある
  • 観光スポットが点在するため、「見る」×「食べる」の組み合わせが作りやすい
  • 同じメニューでもお店ごとに個性があり、食べ比べが旅の楽しみになる

――それでは次章から、静岡側・山梨側の順に、代表的なB級グルメを紹介していきます。まずは静岡側の王道メニューからどうぞ。

第1章|静岡県側のB級グルメ

1) 富士宮やきそば(静岡県富士宮市)

富士宮やきそば
富士宮やきそば

結論ポイント(先に要点)

  • コシの強い“専用むし麺”、香ばしい肉かす、仕上げの削り粉が三位一体
  • 駄菓子屋文化や工場労働の食習慣から広がった“理由のある味”
  • 市内各店で個性があり、食べ比べが楽しい

概要
富士宮やきそばは、富士宮市のソウルフード。見た目は素朴でも、麺・具・仕上げのバランスに“この土地らしさ”が凝縮されています。旅の昼ごはんやおやつにぴったりで、家族連れでも気軽に楽しめます。

特徴(ここが違う)

  • :一般的な焼きそばと違い、蒸した麺を茹でずに急冷して油でうすくコーティング。水分が少なく、強いコシと弾力が出ます。
  • :ラードを搾った後に残る肉かすを炒め合わせ、香ばしさとコクをプラス。
  • 仕上げ:食べる直前に削り粉(いわし・さば等の粉)をふり、香りとうま味を引き上げます。
    この三点が合わさることで、濃すぎないのに噛むほどに味が増す
    独特の一皿になります。

生まれた背景(物語)
戦後の物流事情や日持ちの必要性から、“茹でないむし麺”という製法が選ばれました。駄菓子屋や工場の昼食文化の中で、手早く満足感がある焼きそばが定着。副産物の肉かす削り粉を活かす“もったいない精神”も、この地域らしいポイントです。

現地での楽しみ方

  • 焼き方の違いを比べる:同じ材料でも、店ごとに火加減・麺のほぐし方・ソース配合が違い、香りや食感に個性が出ます。
  • トッピングで表情が変わる:目玉焼きやキャベツ多め、辛口ソースなど、好みで小さなアレンジを。
  • “ご飯+やきそば”もアリ:地元では焼きそばを“おかず”として食べる文化があり、ボリュームを出したい人におすすめです。

観光と合わせるヒント

  • 午前:富士山本宮浅間大社の参拝や湧水スポット散策
  • :市街地で富士宮やきそばの食べ比べ
  • 午後:白糸の滝や田貫湖などの自然スポットへ
    移動距離が短く、“見る→食べる→歩く”のリズムで効率よく回れます。

注文のコツ

  • 最初はソース普通・キャベツ多めでバランスを確認。
  • 追加で削り粉を少量追いすると、香りが立って味が締まります。
  • 混雑時は麺が柔らかくならないうちに熱いうちに食べるのがベスト。

2) つけナポリタン(静岡県富士市)

つけナポリタン
つけナポリタン

結論ポイント(先に要点)

  • ナポリタンの“つけ麺スタイル”。トマト×だし(鶏ガラ等)のダブルスープが基本
  • 麺・具・トッピングの自由度が高いので、店ごとの個性がくっきり
  • 発祥の商店街を歩きながら、食べ比べが楽しめるご当地メニュー

概要
喫茶店の定番・ナポリタンを“麺とソースを分けて食べる”スタイルに再構成したのが、富士市発祥のつけナポリタン。コクのあるトマトスープに、熱々(または温)の麺をちょい浸ししながら味わうのが特徴です。箸でもフォークでもOK。子どもから大人まで幅広く楽しめます。

特徴(ここが違う)

  • ダブルスープ:トマトソースに鶏ガラやブイヨン、魚介だしなどを重ねた旨みリッチなつけダレ。酸味とコクのバランスが肝。
  • 麺の多様性:極太麺、中華麺、パスタ、生パスタ、お茶練り込み麺などお店によって変化
  • トッピング自由:チーズ、蒸し鶏、ベーコン、駿河湾の桜えび、季節野菜など、アレンジの幅が広い。
  • 味変が楽しい:粉チーズ、黒胡椒、レモン、タバスコ、チリオイル等で好みの一口を作れます。

生まれた背景(物語)
2000年代後半、富士市・吉原商店街のにぎわいづくりから誕生。喫茶とラーメン文化の“いいとこ取り”をねらった一皿が話題を呼び、イベント出店や学校給食採用などを通じて地域の顔へと育ちました。いまも商店街を中心に複数店が提供し、店ごとの“解釈の違い”を味わえるのが魅力です。

現地での楽しみ方

  • まずは元祖系で基準値を体験 → その後にチーズ増し/桜えび入りなど“個性派”へ。
  • 麺は“半浸し”で:麺のコシと小麦の香りを残したい人は、浸けすぎずに。
  • 味変タイム:半分食べたら粉チーズやレモンでリフレッシュ。最後は残ったスープに追いチーズでリゾット風もおすすめ。

観光と合わせるヒント

  • 午前:商店街散策や地元の小さなミュージアム・工場景観スポット
  • :つけナポリタンの食べ比べ(2人以上なら“別の店でハシゴ”が楽しい)
  • 午後:富士山眺望スポットや公園、海辺エリアでゆったり
    歩いて回りやすい範囲に店が点在しているので、短時間でも充実します。

注文のコツ

  • 初回はプレーン+チーズ少量でベースの味を確認。
  • 濃厚好きはベーコンや蒸し鶏トッピング、軽め派はレモン添えでキレ良く。
  • 子ども連れは辛味抜きでお願いしておくと安心です。

3) 三島コロッケ(静岡県三島市)

みしまコロッケ
三島コロッケ

結論ポイント(先に要点)

  • 定義は「三島馬鈴薯(メークイン)を100%使用」——中身や形は店の自由
  • 箱根西麓のじゃがいもを活かし、サクッ×しっとり×甘みが持ち味
  • 2008年の誕生以来、まちぐるみの認定制度で“食べ比べ観光”が楽しい

概要
三島コロッケは、三島市のブランドいも「三島馬鈴薯(メークイン)」を使うことが唯一の約束。衣は香ばしく、中はほくっとクリーミー。素材の甘みが際立つのが特徴で、食堂・精肉店・惣菜店・カフェなど多様な業態で出会えるのが魅力です。

特徴(ここが違う)

  • 100%ルール:コロッケに使うじゃがいもは三島馬鈴薯のみ。具材・形・味付けは各店のオリジナルなので、食べ比べで個性がはっきり分かります。
  • 素材力:手作業で丁寧に収穫し、風乾で甘みとコクが増す三島馬鈴薯を使用。結果、外サク・中しっとりの上品なコロッケに。
  • 姉妹品:さつまいもや里芋を使った派生コロッケもあり、季節や店によってラインナップが変わります。

生まれた背景(物語)
2008年、観光客に手軽に地元の“おいしい”を届ける目的と、じゃがいもの規格外品の活用という課題解決から誕生。生産者・商店・市民・行政が連携して地域ブランドとして育ててきました。のちにテレビドラマ登場などで知名度が上がり、市を代表する“看板メニュー”に。

現地での楽しみ方

  • 認定店を巡る:市の認定を受けた店には目印(のぼり等)。惣菜店で買い歩き飲食店で定食カフェでアレンジ、とスタイルを変えて味わうのが楽しい。
  • 時間帯のコツ:惣菜系は昼前〜昼過ぎが揚げたてに当たりやすい。人気店は売り切れ前に。
  • テイクアウト派:公園や川沿いで熱々をかじるのも三島らしい楽しみ方。

観光と合わせるヒント

  • 午前:三嶋大社や商店街散策
  • 三島コロッケ食べ比べ(2〜3店舗)
  • 午後:柿田川湧水群などの清流散策
    駅から徒歩圏に店が点在しており、短時間でも回遊性が高いのが魅力です。

注文のコツ

  • 初回はプレーン(じゃがいも感強め)で基準値をチェック。
  • 2軒目は牛肉入り/ベーコン入り/チーズ入りなど“味の足し算”系へ。
  • 揚げたてはやけど注意。紙袋を少し開けて蒸気を逃してから頬張ると衣が長持ちします。

4) すその水餃子(静岡県裾野市)

すその水餃子
すその水餃子

結論ポイント(先に要点)

  • 皮にモロヘイヤを練り込んだ、翡翠色でもちもち食感の水餃子
  • 具はキャベツ・豚肉・ニラが基本。店によって茶葉など地場産をプラス
  • スープのバリエーションが豊富で、食べ比べが楽しい“新名物”

概要
裾野市で生まれた「すその水餃子」は、見た目のインパクトと優しい味わいが魅力。モロヘイヤ入りの皮はつるんともっちり、噛むほどに小麦と野菜の香りが広がります。油をほとんど使わない調理が多く、軽めだけど満足感があるのがポイントです。

特徴(ここが違う)

  • 翡翠色の皮:モロヘイヤ粉末を練り込み、もっちり×つるんの口当たりに。
  • 地場食材の具:基本はキャベツ・豚肉・ニラ。お店によっては裾野産の茶葉を加えるなど、“地元らしさ”の工夫が光ります。
  • スープ&アレンジ:澄んだ鶏がら風、和風だし、ピリ辛系など各店のオリジナルスープで提供。ラーメントッピングチーズ焼きなどの変化球も。

生まれた背景(物語)
2000年代に入り、裾野市では「餃子でまちを盛り上げよう」という機運が高まり、試行錯誤の末にモロヘイヤを生かした水餃子が誕生。市内の飲食店が協力してブランド化を進め、イベントやPRを通じて地域の新しい“顔”として定着しました。

現地での楽しみ方

  • まずは定番スープで基準値を体験 → 2杯目はピリ辛・香味系など味違いに挑戦。
  • 皮のもち感を楽しむなら“半浸し”:長く沈めすぎず、つるん→もっちりの食感コントラストを。
  • サイド小皿で味変:黒胡椒・おろし生姜・酢辣油など、店ごとの味変パーツも注目。

観光と合わせるヒント

  • 午前:富士山眺望スポットや工業景観の散策
  • :市内の提供店をハシゴ(2人以上ならスープ違いをシェア)
  • 午後:御殿場・長泉方面のアウトレット/温泉へ
    移動は車が便利。コンパクトに回れば半日でも満足度高めに。

注文のコツ

  • 皮の存在感を味わいたい人は茹で上がりすぐの提供を。
  • 軽め派はノンオイル系スープ、食べ応え派は具増し(肉・野菜)を。
  • 子ども連れは辛味抜きで。別添ラー油で大人は後から調整できます。

5) 静岡おでん(静岡県静岡市)

静岡おでん
静岡おでん

結論ポイント(先に要点)

  • 真っ黒な出汁、黒はんぺん、仕上げのだし粉+青のり、そして串刺しがキホン
  • 駄菓子屋から居酒屋まで、日常に根づいた大衆食として一年中楽しめる
  • 旅先での“ちょい飲み・ちょい食べ歩き”に最適

概要
静岡を代表するローカルおでんは、見た瞬間に“黒”。牛すじの旨みと濃口醤油を重ねた出汁でコトコト煮込み、好みの具を串でさっと選んで、仕上げにだし粉と青のりをふるのが静岡流です。気取らず、でも味は奥深い——観光の合間に一皿、夜は一杯と一緒に、どちらにもハマります。

特徴(ここが違う)

  • 黒い出汁:牛すじベース+濃口醤油で煮込みを重ねた継ぎ足し文化
  • 黒はんぺん:青魚のすり身(骨ごと)由来の色と旨み。静岡おでんには欠かせない定番
  • 串刺しスタイル:大根・卵・牛すじ・練り物など、串で選んで気軽に。
  • 仕上げの儀式だし粉+青のりをふって香りとコクをプラス。
  • 生活圏の味:居酒屋はもちろん、駄菓子屋でも親しまれてきたのが静岡らしさ。

生まれた背景(物語)
戦後の食文化の中で、手に入りやすい素材を活かして“毎日のごちそう”として広がりました。継ぎ足しの出汁が店ごとの個性を育て、黒はんぺんだし粉といった魚の副産物を無駄なく使う知恵が、地元の味の記憶を支えています。

現地での楽しみ方

  • はじめの三本:大根・黒はんぺん・牛すじで基準値を知る。
  • 味変の妙:途中でだし粉を追いがけ→香りが立って印象が一段深く。
  • 〆の一品:玉子やちくわで軽く締める、または汁を少量すする“スープ割り”感覚で余韻を。

観光と合わせるヒント

  • :市街地散策の合間に1~2本だけつまむ“休憩おやつ”として。
  • :一日の締めに軽い一杯+静岡おでん。ハシゴで出汁の違いを楽しむのもおすすめ。

注文のコツ

  • 初回は黒はんぺん必須+大根・牛すじを。
  • だし粉は最初は少なめ→後半追いで味の変化を。
  • 濃口の出汁が苦手な人は、青のりを控えめにして旨みを調整。

第2章|山梨県側のB級グルメ

6) 甲府鳥もつ煮(山梨県甲府市)

甲府鳥もつ煮
甲府鳥もつ煮

結論ポイント(先に要点)

  • 鶏のレバー・ハツ・砂肝・きんかんを、濃い甘辛ダレで強火の照り煮
  • 汁気を飛ばしてつややか&濃厚に仕上げるのがキモ
  • そばの付け合わせ、居酒屋のつまみ、丼ぶり(鳥もつ丼)まで楽しみ方が広い

概要
甲府の居酒屋やそば店で定番の一品。ひと口目は甘辛、噛むほどに内臓のうま味が広がり、レバーのなめらかさ、ハツの弾力、砂肝のコリコリ、きんかんのぷちっと感がリズミカルに押し寄せます。見た目は濃いめでも後味は意外と軽く、ご飯にもお酒にも合う万能選手です。

特徴(ここが違う)

  • 照り煮スタイル:甘口醤油だれを強火・短時間で煮詰め、照りを出す。いわゆる“もつ煮込み(汁物)”とは別物。
  • 多彩な食感:レバー、ハツ、砂肝、きんかんの食感コントラストが主役。
  • 食べ方の幅:単品つまみ、そばセット丼ぶりなど、シーンに合わせて自在。

生まれた背景(物語)
戦後の甲府で、そば屋の副菜として広まったのが始まり。手頃な部位を短時間でおいしく仕上げる工夫が根づき、のちにイベントやPRを通じて“甲府名物”として定着しました。

現地での楽しみ方

  • まずは定番ミックス:4種が入った一皿で“基準の味”を体験。
  • そば屋セット:もり/かけそば+小皿の鳥もつ煮で甲州らしさ満喫。
  • 〆は丼に:残ったタレをご飯に移して簡易鳥もつ丼、満足感アップ。

観光と合わせるヒント

  • 午前:武田神社や甲府城跡を散策
  • :そば処で鳥もつ煮+そばのセット
  • 午後:昇仙峡やワイナリーでゆったり
  • :駅前の居酒屋でもう一度“照り煮”を堪能
    徒歩や電車で動きやすく、短時間でも組み込みやすいのが魅力です。

注文のコツ

  • 火入れは早めが旨い:レバーはやわらかめが失敗しにくい。
  • 甘辛の調整:濃いめが苦手なら“タレ軽め”をひと声。
  • きんかんは有無を選べる店も。食感が苦手なら抜きで。

7) 吉田のうどん(山梨県富士吉田市)

吉田のうどん
吉田のうどん

結論ポイント(先に要点)

  • 極太で強いコシ、角ばった断面の麺が主役
  • つゆは味噌×醤油ブレンドが基本、茹でキャベツ+甘辛い馬肉が定番トッピング
  • 卓上の「すりだね」で好みの辛さに“育てる”一杯

概要
富士吉田市を中心に受け継がれてきた、地域のソウルフード。見た目は素朴でも噛むほど小麦が香り、キャベツの甘みと馬肉のコク、味噌醤油だしが太麺にしっかり絡みます。家庭料理がルーツで、店ごとに製麺やだしのバランス、具の切り方まで個性がくっきり。食べ比べが面白いジャンルです。

特徴(ここが違う)

  • :極太・硬め。歯で“押し返す”ようなコシが持ち味。
  • つゆ:味噌と醤油を合わせ、煮干・かつお等のだしを利かせるのが一般的。
  • 茹でキャベツの食感と甘辛い馬肉が王道。わかめ・ねぎ・天かすなどで表情が変わります。
  • 薬味:各卓に置かれる「すりだね」(唐辛子・ごま・山椒などの自家製辛味)で、最初は控えめ→後半に追いが鉄則。

生まれた背景(物語)
富士山麓の冷涼な気候と暮らしに根ざした“硬派な麺文化”。家庭で打たれてきた歴史があり、強いコシを好む地域性が現在のスタイルへ。馬肉が親しまれるのは、かつて荷運びや農作業で馬が身近な存在だった土地の記憶とも結びついています。

現地での楽しみ方

  • まずは定番:キャベツ・馬肉入りの“吉田の教科書”で基準値を確認。
  • すりだねで二段階目:半分食べたら、少量ずつ加えて辛味と香りの輪郭を調整。
  • 汁完までの道:麺→具→だしの順に味の層が深くなるので、最後の一口はだしで締めると満足感が高い。

観光と合わせるヒント

  • 午前:新倉山浅間公園や河口湖で富士山ビュー
  • :市内のうどん店で“太麺×すりだね”体験”
  • 午後:富士急ハイランドや御師の町並み散策へ
    移動がコンパクトで、短時間でも“見る×食べる”が両立しやすいのが魅力です。

注文のコツ

  • 麺の硬さはお店の“素”を尊重。初回は調整せず、その店の標準を味わうのがおすすめ。
  • キャベツは多めにすると、だしの塩味と良いコントラストに。
  • すりだねは別皿も可:辛味耐性に合わせて少量ずつ。入れすぎるとだしの旨みが隠れます。

8) かっぱめし(山梨県富士河口湖町周辺)

かっぱめし
かっぱめし

結論ポイント(先に要点)

  • 河口湖の河童伝説にちなむご当地丼。きゅうり×とろろ×海苔×白ごまが基本形
  • トッピングは自由度が高く、まぐろ・うなぎ・チャーシュー・ポークソテーなど店ごとに個性
  • さらっと食べやすいヘルシー系で、季節を問わず“旅の合間の一杯”に最適

概要
かっぱめしは、河口湖に伝わる河童の物語をモチーフに生まれた物語性のある丼。温かいご飯にきゅうりの浅漬けとろろを中心に、刻み海苔白ごまを重ねた“基本形”があり、店や宿ごとにトッピングで個性を出します。さっぱりしつつ満足感があり、観光の移動前後でも重くなりにくいのが支持される理由です。

特徴(ここが違う)

  • 基本の4要素:きゅうり(浅漬け)、長芋・大和芋のとろろ刻み海苔白ごま。まずはこの組み合わせで“基準の味”。
  • トッピングの自由ポークソテー/まぐろ/うなぎ/チャーシューなど、各店の創意工夫でボリューム系にも。
  • 食べやすさ:とろろのなめらかな口当たりと、きゅうりの爽やかな歯ざわりで、暑い季節でも箸が進みます。

生まれた背景(物語)
河口湖畔に伝わる河童伝説にちなんで考案されたローカルメニュー。湖の民話と“河童=きゅうり”のイメージを重ね、旅の中で土地の物語を食で追体験できる一杯として広がりました。

現地での楽しみ方

  • まずは基本形でバランスを確認 → 2軒目以降は海鮮系/肉系など方向の違うトッピングで印象を比較。
  • 味変で後半をリフレッシュ:卓上の薬味(わさび・醤油など)があれば、少量ずつ試すと最後まで飽きません。
  • シェア前提のハシゴ:2人以上なら“基本×アレンジ”を頼んで食べ比べが効率的。

観光と合わせるヒント

  • 午前:河口湖・大石公園やクラフト系ミュージアム
  • :湖畔エリアでかっぱめし(天気が良ければ外席も気持ちいい)
  • 午後:遊覧船やロープウェイ、夕方は温泉で一息
    アクセスしやすい湖畔に提供店が点在し、短時間でも予定に組み込みやすいのが魅力です。

注文のコツ

  • 初回は“とろろ多め”にして、きゅうりの塩味とのコントラストを楽しむ。
  • お腹と相談して、追いトッピング(たんぱく質系)で満足度を調整。
  • ご飯はやや少なめオーダーも相性よし。軽く済ませたい時に。

9) ほうとう(山梨県全域)

ほうとう
ほうとう

結論ポイント(先に要点)

  • 幅広・厚めの平打ち麺を、かぼちゃ×根菜×味噌だしで煮込む山梨の代表格
  • 生地づくりで塩を使わないため、とろみの出た汁に麺がなじむ独特の一体感
  • 秋冬の定番イメージだが、通年で愛される家庭料理

概要
ほうとうは、山梨の食卓と観光をつなぐ“あったかい主役”。大鍋でかぼちゃや根菜、きのこ、肉を味噌仕立ての汁で煮込み、幅広で厚みのある麺茹でずにそのまま投入して仕上げます。打ち粉が汁にとけて自然なとろみが生まれ、具材と麺が一体となる満足感が魅力です。

特徴(ここが違う)

  • :小麦粉と水のみ。塩を入れないためコシを立てるより、煮込みで一体化させる設計。
  • 味噌ベース。かぼちゃ、じゃがいも、にんじん、白菜、きのこ、豚肉などをたっぷり
  • 食感:打ち粉が溶け出して自然なとろみ→麺と具、汁がからみ良くまとまる。
  • ボリューム:鍋一つで主食+おかずが完結。冷えた体を内側から温める“ごちそう”。

生まれた背景(物語)
江戸期にはすでに山梨の名物として語られ、簡便で栄養がとれる鍋として生活に根づいたとされます。塩が貴重だった時代背景や陣中食の伝承に触れられることもあり、厳しい自然と暮らしの知恵が形に残った一品です。今日では郷土のソウルフードとして、家庭でも外食でも幅広く親しまれています。

現地での楽しみ方

  • まずは王道:かぼちゃが主役の味噌仕立てで“基準の一杯”を。
  • 具材で性格が変わる:きのこ多め=香り豊か、豚肉多め=コク深め。旅の人数に合わせて取り分け鍋もおすすめ。
  • ご飯との相性:汁にとろみがあるので小盛りご飯を添えて“W主食”でも重くなりにくい。

観光と合わせるヒント

  • 午前:ワイナリーや果樹園・渓谷散策
  • :古民家風の店でほうとう(待ち時間が出やすい人気店は開店直後が狙い目)
  • 午後:温泉・美術館へ。秋の紅葉冬のイルミ時期は特に映えます

注文のコツ

  • 麺の硬さ指定は基本なし:煮込みで仕上がる料理なので、提供後は伸びないうちに
  • かぼちゃ多め/肉増しで好みに調整。
  • 熱い汁でやけど注意。最初は麺→具→汁の順で温度に慣らすと食べやすい。

10) 富士山カレー(広域:御殿場・富士吉田・河口湖ほか)

富士山カレー
富士山カレー

結論ポイント(先に要点)

  • ライスを富士山の形に盛り、ルーで“山体”、白いソースで雪化粧を表現するフォトジェニック系
  • バリエーション豊富:王道のブラウン系に加え、青いルー/赤いルーなど“映え”重視の一皿も
  • 家族旅行・友だち旅のシェアに最適。観光とセットで楽しむ“景観食”

概要
富士山カレーは、見た瞬間に楽しい観光向けメニュー。山型に盛ったライスにカレーを流し、仕上げにヨーグルトやチーズを雪に見立ててのせる演出で、テーブルの上に小さな富士山が現れます。味わいは店舗ごとに多彩で、チキンや野菜が主役の食べやすい配合が中心。写真を撮ってから、みんなでわいわい崩して食べるのも醍醐味です。

特徴(ここが違う)

  • 盛り付けの妙:山体=ルー、頂の雪=ホワイトソースで“風景を食べる”体験に。
  • 多様なルー:マイルド系のクリーミーカレーからスパイシー系まで。青い富士山カレー/赤い富士山カレーなど、色で遊ぶ派生も話題。
  • シェア前提の楽しさ:1人1皿でも、1皿を2〜3人でシェアして“撮って→食べる”体験を共有しやすい。
  • みやげ対応:レトルト版を扱う施設・売店もあり、旅の余韻を家でも楽しめます。

生まれた背景(物語)
富士山エリアの“景観そのもの”を食の表現に落とし込む発想から生まれたメニュー。SNS時代に視覚が旅の動機になることに着目し、見て楽しい×食べて満足の両立をめざした“観光コンテンツ”として広がりました。

現地での楽しみ方

  • まずは王道:ブラウン系のベーシックなルーで“味の基準”を確認。
  • 色で遊ぶ:2皿目は青/赤などの“映え系”に挑戦。写真を撮るなら斜め45°+真上の2カットがおすすめ。
  • 雪化粧を後がけ:ホワイトソースが別添なら少量ずつかけて、絵作りと味の変化を同時に楽しむ。

観光と合わせるヒント

  • 午前:ビュースポット(新倉山浅間公園/御殿場高原エリア など)
  • :富士山カレーで“食の記念撮影”
  • 午後:湖畔散策やアウトレット、温泉でゆったり
    動線が短く、短時間でも旅が濃くなるのが魅力です。

注文のコツ

  • 辛さ調整:辛味が心配ならマイルド系を選び、卓上スパイスで後半にちょい足し
  • ルー多めで満足感UP:シェアや大食派はルー増し対応の有無を確認。
  • 子ども連れは“辛味要素なし”で注文し、白いソース多めにすると食べやすい。

まとめ

富士山周辺のB級グルメは、土地の条件と暮らしの知恵が生んだ“理由のある味”です。静岡側は「富士宮やきそば」「つけナポリタン」「三島コロッケ」「すその水餃子」、山梨側は「甲府鳥もつ煮」「吉田のうどん」「かっぱめし」「ほうとう」、そして広域の「富士山カレー」。いずれも手頃・気軽でありながら、店ごとの解釈が光り、食べ比べが旅を豊かにしてくれます。

旅程に組み込むコツはシンプル。

  • 午前は景観・散策 → 昼は“基準の一皿” → 午後は回遊 → 夕方に小皿や鍋で温まる。
  • 昼は11時台、夜は開店直後が待ち時間少なめ。
  • 味変(削り粉・すりだね・粉チーズ等)は後半に少量ずつが失敗しにくい。

初めてなら、この3通りが外しません。

  • 静岡入門:富士宮やきそば+三島コロッケ(合間のつまみ)+夜に静岡おでん。
  • 山梨入門:吉田のうどん(すりだね控えめ)+夕方に甲府鳥もつ煮の小皿+ほうとうをシェア。
  • “映え”重視:昼に富士山カレー、午後につけナポリタン(半浸しで麺線キープ)。

小さな心がけで満足度が上がります。

  • 撮影マナー:行列店や混雑時は短時間で。フラッシュは控えめに。
  • テイクアウト:ゴミは持ち帰り、揚げ物は熱々のうちに
  • 体調・天候:寒暖差が大きいエリア。温かい一皿をうまく挟むと快適です。

景色と同じくらい、“どう食べるか”が思い出になるのがこのエリアの魅力。気に入った味に出会えたら、別の店・別の解釈でもう一度――それが、富士山周辺グルメのいちばんの楽しみ方です。

参考情報一覧

行政・観光・団体など

メディア・事典・ガイド

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