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富士宮の特産「にじます」—歴史・養殖・食べ方・体験スポット

富士のにじます グルメ
富士のにじます
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導入

富士山のふもと・静岡県富士宮市は、全国トップクラスの生産量を誇る“にじますのまち”。雪どけ水が長い時間をかけて地下でろ過された清らかな湧水と、年間を通して安定した水温が、にじますの養殖に理想的な環境をつくっています。市内には養鱒場や直売所、体験型の釣り場が点在し、新鮮なにじますを“刺身・塩焼き・フライ・寿司・甘露煮”など、さまざまな料理で楽しめるのが魅力です。

また、にじますは2009年に富士宮市の「市の魚」に制定され、地域ぐるみのPRやイベントも盛ん。プレミアムブランドの大型にじます「紅富士(あかふじ)」をはじめ、各養鱒場のこだわりある商品や加工品も増え、観光と食の両面で注目を集めています。富士山の景色とあわせて、“水の恵みが育てた一尾”を味わいに出かけてみませんか。

第1節:富士宮市とにじますの関わり

富士山と富士宮市
白糸の滝(富士山)
白糸の滝(富士宮市)
陣馬の滝(富士宮市)
陣馬の滝(富士宮市)

富士宮市が“にじますのまち”として知られるいちばんの理由は、なんといっても水の恵みです。富士山に降った雨や雪は溶岩層でじっくりろ過され、清らかな伏流水として白糸の滝、陣馬の滝や市内各地の湧水へと姿を変えます。年間を通して温度が安定し、酸素を多く含むこの水は、にじますの健やかな成長に理想的。川魚特有のにおいが出にくく、身が締まって味わいのよい魚に育ちます。

こうした自然条件を背景に、富士宮市北部では古くから養鱒が盛んに行われてきました。養鱒場が点在し、種苗づくりから餌の管理、出荷まで一連の体制が整っています。市内には直売や見学ができる施設、釣ってその場で味わえる体験型のスポットもあり、観光の楽しみと生産の現場が近いのも特徴です。

生産面では、市町村単位で全国トップクラスの実績を持ちます。出荷の多くは首都圏や県外にも向けられ、寿司・刺身用の高品質なにじますとして評価を獲得。地元の飲食店でも刺身や塩焼き、フライ、寿司など幅広い料理で提供され、家庭でも親しまれています。

要するに、富士宮のにじますは「富士山の水」×「長年の養鱒技術」×「観光と食の受け皿」の三拍子がそろって育まれてきた地域の主役。富士山麓の自然と暮らしが生んだ名物として、いまも進化を続けています。

第2節:富士宮市指定「市の魚」としてのにじます

富士宮市のにじます

にじますは、2009年に富士宮市の「市の魚」に制定されました。富士山の湧水に育まれた地域の誇りを、まち全体で分かち合うための象徴です。市内では昔から養鱒が盛んで、刺身や塩焼き、フライなどの定番料理はもちろん、寿司や丼物、加工品まで幅広く親しまれてきました。こうした“日常のごちそう”を、観光客にもわかりやすく伝えるきっかけになったのが「市の魚」の制定です。

制定と歩調を合わせるように、地域を盛り上げる活動も広がりました。市民イベントではにじますをテーマにした催しが開かれ、PRソングやマスコットも登場。子どもから大人まで、楽しみながら“富士宮の味”に触れられる場が増えています。学校給食でもにじますのメニューが定着し、次世代へ食文化をつなぐ取り組みとしても根づいています。

また、“やきそばのまち”として知られる富士宮らしく、団体やお店、行政が連携して情報発信や商品開発を進めているのも特色です。イベント出店や限定メニュー、地域ブランドの強化など、にじますを軸にしたまちづくりが少しずつ実を結び、観光と食の両面から「富士宮といえば、にじます」というイメージが定着しつつあります。

第3節:にじますの味と特徴

虹鱒(ニジマス)
虹鱒(ニジマス)Rainbow Trout / photo by fto mizno

富士宮のにじますは、ひと口で「すっきり上品」。川魚にありがちな泥くささがほとんどなく、淡白でありながら噛むほどにやさしい旨みが広がります。理由は、富士山の湧水と安定した水温。透明度が高く酸素をたっぷり含む水で育つことで、身がほどよく締まり、後味が軽やかに仕上がります。

もう一つの特徴は“育て方”。富士宮では一般的な養殖より時間をかけて育成するため(ブランドによっては2~3年)、繊維のキメが細かく、脂がのっていても重たくありません。刺身やしゃぶしゃぶにすると、しっとりとした口あたりと清潔感のある香りがよりはっきりわかります。加熱する料理でも実力は十分。塩焼きは皮目の香ばしさと身のしっとり感のバランスがよく、フライやムニエルにすれば、外はサクッと中はふっくらとしたコントラストが楽しめます。

味わいは“白身魚の上品さ+サーモンのコク”の中間のようなイメージ。酢飯との相性もよく、押し寿司やちらし寿司、漬け丼など、和のご飯ものにも幅広く使われています。クセが少ないため、レモンやハーブ、バター、オリーブオイルなど洋の素材とも好相性。家庭でも扱いやすい万能選手です。

第4節:富士宮のにじます料理と加工品

にじますの刺身
にじますの刺身
にじますの塩焼き
にじますの塩焼き
にじますの天ぷら
にじますの天ぷら
にじますのから揚げ
にじますのから揚げ
ニジマス丼
ニジマス丼

富士宮のにじますは、食べ方の幅広さも魅力です。まずは“産地ならでは”の刺身。透き通った身はしっとりとして、ほどよい脂のりと爽やかな後味が楽しめます。塩焼きは皮目の香ばしさと身のふっくら感が際立ち、フライや唐揚げはサクッと軽く、子どもにも人気。ムニエルやバターソテーなど洋風アレンジとも好相性です。

ご飯ものもバリエーション豊か。押し寿司やちらし寿司、漬け丼など、酢飯との相性が抜群で、見た目にも華やか。市内の飲食店では、にじますの丼や天ぷら、味噌漬け焼きなど、各店が工夫を凝らしたメニューを提供しています。観光の拠点では、フライを主役にした定食や、サクサクの“鱒カツ”を楽しめるお店もあり、旅のランチにぴったりです。

家庭で楽しむなら、加工品がおすすめ。甘露煮や曾我煮、燻製、味噌漬け、一夜干し、スモークスライス、しゃぶしゃぶ用スライスなど、保存しやすくアレンジも自在。直売所や市内の専門店では詰め合わせセットも用意され、贈り物やお土産にも重宝します。ECや電話・FAXで全国発送に対応している店舗も多く、旅行後に“お取り寄せ”で味を思い出すこともできます。

観光の途中で気軽に味わうもよし、自宅でゆっくり楽しむもよし。清らかな水が育てた一尾は、素朴な塩焼きからごちそう寿司、洋風のひと皿まで、シーンに合わせて表情を変えてくれます。

第5節:ご当地グルメ「鱒バーガー」の現状と楽しみ方

以前はお宮横丁の「鱒益分岐店」ではニジマスのフライを挟んだ“鱒バーガー”を提供していましたが、現在は閉店しており、いまは常設で同メニューを提供する店舗が限られています。

とはいえ、鱒バーガー(ニジマスバーガー)というアイデア自体は市内のイベントや期間限定メニューとして続いており、春の「にじます祭」や各種フードイベントで登場することがあります。浅間大社周辺や観光拠点のレストラン・売店でも、ニジマスフライのサンドやカツ系メニューなど“バーガーに近いスタイル”がスポット的に出ることがあるため、旅程に合わせてチェックしてみてください。

探し方のコツはシンプルです。訪問前に「富士宮 鱒バーガー」「ニジマス バーガー」などで検索し、各店の公式SNSや最新のメニュー写真を確認しましょう。イベント出店は日程や天候で変わることがあるため、当日の販売有無や提供時間まで見ておくと安心です。もしバーガーの提供がない場合でも、フライや“鱒カツ”の定食、サンド系の軽食、テイクアウトできる加工品(フライやスモーク)など、近い満足感を得られる選択肢が充実しています。

“富士山の湧水が育てた淡白で上品な味わいを、手軽に齧る”という鱒バーガーの魅力は健在。常設店が少ない今は、イベントや期間限定の“出会えたらラッキー”な一品として楽しむのがおすすめです。

第6節:富士養鱒場と養殖の歴史

富士養鱒場(ふじようそんじょう)
富士養鱒場
富士のにじます
富士のにじます

富士宮のにじます養殖は、昭和初期に本格化しました。転機となったのは、1933年(昭和8年)に県営の「富士養鱒場(ふじようそんじょう)」が猪之頭(いのかしら)地区に設立されたこと。富士山の伏流水が豊富に湧く土地柄を生かし、種苗の生産・供給から飼育技術の開発、品種改良まで、養鱒の中核拠点として役割を担ってきました。施設は見学や釣り場も併設しており、“学びと体験”を通じて、にじます文化を身近に感じられる場所として親しまれています。

戦後になると民間の養鱒場も増え、富士山麓の湧水環境を生かした生産体制が整備されました。清らかな水と安定した水温は、魚にストレスが少ない飼育を可能にし、身質のよいにじますが育つことから、刺身用途を含む高品質な出荷で評価を獲得。1950年(昭和25年)には富士宮産の冷凍にじますがハワイへ輸出されるなど、早い時期から外の市場にも挑戦してきた歴史があります。

現在も富士養鱒場は、地域の生産を下支えする“頭脳”として機能しています。稚魚の安定供給や飼育マニュアルの整備、疾病対策、出荷品質の基準づくりなど、現場に直結する知見を発信。市内の養鱒場はその知見を取り入れ、長期育成や水質管理を徹底することで、刺身・しゃぶしゃぶに耐える身質の良い魚を育てています。こうした官民一体の積み重ねが、富士宮を“市町村単位で日本有数の生産地”に押し上げ、地域の食文化と観光の土台になっているのです。

第7節:観光と体験型アクティビティ

ニジマス釣り
ニジマス釣り

にじますは“食べる”だけでなく、“体験して楽しむ”のが富士宮らしさ。市内には手ぶらで行ける釣り堀や掴み取りの会場があり、家族やグループで気軽に挑戦できます。はじめての方でもスタッフがサポートしてくれるので、竿の扱い方やエサ付けから安心。釣った魚はその場で焼いて味わえる施設も多く、「釣る・食べる」を一度に楽しめます。

体験のコツは3つ。①午前中の涼しい時間帯を狙う(魚の活性が高く、待ち時間も少なめ)、②保冷バッグやクーラーボックスを持参(持ち帰り用)、③動きやすい服装と滑りにくい靴(足元は水しぶきで濡れやすい)。子ども連れなら濡れてもよい着替えとタオルがあると安心です。混雑期は入場制限や整理券配布になる場合もあるため、出発前に各施設の営業情報を確認しましょう。

春には、市内最大級のにじますイベント「にじます祭」も開催されます。掴み取りや釣り大会、ステージ企画など一日楽しめる内容で、限定フードや加工品の販売も充実。観光で訪れるタイミングが合えば、“富士山の麓でにじます三昧”という特別な一日を過ごせます。

富士山の清流に触れながら味わう体験は、写真では伝わらない魅力そのもの。旅の予定に「釣って・焼いて・食べる」時間を少し加えるだけで、にじますの印象がぐっと深まります。

第8節:富士宮にじますと地域ブランド化

富士宮では、“にじます=まちの誇り”をわかりやすく伝えるための取り組みが長く続いています。2009年の「市の魚」制定をきっかけに、イベントや学校給食、観光メニューなど生活のさまざまな場面でにじますが登場。PRソングとキャラクター「ヘルシーニジマスくん」も生まれ、子どもから大人まで親しみやすい存在になりました。

一方で、出荷の多くが県外向けという課題もあり、地元で“身近に食べる機会”を増やす工夫が進みました。生産者・飲食店・行政が連携し、フェアや限定メニュー、食べ比べ企画を実施。市内の飲食店ネットワークでは、刺身・寿司・丼・フライ・甘露煮など各店の個性を活かした提案を行い、観光客が“まち歩きで食べ比べ”できる導線づくりも進んでいます。

物販面では、スモーク、味噌漬け、甘露煮、しゃぶしゃぶ用スライスなどの加工品が充実。直売所や道の駅、オンライン販売を通じて「旅のあとも楽しめるブランド体験」を整え、手みやげやギフト需要にも対応してきました。さらに、長期育成の大型魚「紅富士(あかふじ)」などプレミアムラインの存在が、富士宮の“品質イメージ”を押し上げています。

こうした官民一体の取り組みは、「にじますを食べる理由」を増やし、観光・食・学びをつなぐ地域ブランドへ。富士山の清流が育てた一尾が、富士宮のストーリーを伝える“おいしい案内役”になっています。

第9節:まとめ

富士宮のにじますは、富士山の湧水というかけがえのない自然条件と、長年培われた養鱒の知恵から生まれた“まちのごちそう”です。透明感のある味わいは刺身や塩焼きはもちろん、寿司、フライ、ムニエル、甘露煮など、和洋さまざまな料理で楽しめます。体験型の釣りやイベントも充実しており、観光と食を一度に味わえるのも富士宮ならでは。

2009年の「市の魚」制定以降は、市民ぐるみのPRや学校給食、加工品・ブランド魚の展開など、地域一体でにじます文化を育ててきました。旅の計画に、にじますを“食べる・買う・体験する”時間を少し加えるだけで、富士山麓の暮らしと水の物語が、ぐっと身近に感じられるはずです。

参考文献・情報一覧

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