はじめに
富士養鱒場(ふじようそんじょう)は、富士山の麓・静岡県富士宮市猪之頭にあるニジマスの拠点です。澄んだ湧水が一年中安定して流れ、広い池で育つニジマスを間近で見られるほか、場内では気軽な釣り体験も楽しめます。家族連れのレジャーにも、自由研究や社会科見学にも向いた“学びと体験が一度にかなう”スポットです。
もう一つの特徴は、「研究」と「観光」が同じ場所にあること。公的な研究施設として、ニジマスや淡水魚に関する調査・飼育・病気の診断を行い、その成果を展示室でわかりやすく紹介しています。隣接の直営釣り場では、道具付きで手ぶらでもOK。釣った魚を持ち帰ったり、開催日に焼きたてを味わったりと、自然の中での過ごし方も広がります。
朝霧高原や田貫湖、白糸の滝などの観光地にも近く、ドライブやキャンプの途中で立ち寄るのにも最適。富士山の恵みを体感できる、地域ならではの魅力がぎゅっと詰まった場所です。
第1節:基本情報とアクセス

基本情報(読み方・住所・連絡先・URL)
- 施設名:静岡県水産技術研究所 富士養鱒場
- 読み方:しずおかけん すいさんぎじゅつけんきゅうじょ ふじようそんじょう
- 住所:〒418-0108 静岡県富士宮市猪之頭579-2
- 電話:0544-52-0311(観覧窓口)
- 公式サイト:静岡県水産・海洋技術研究所 富士養鱒場
営業時間・休業日
- 営業時間:9:00〜16:30(最終入場 16:00)
- 休業日:年末年始(12/29〜1/3)以外は原則無休
駐車場・設備
- 駐車場:あり(無料/普通車・大型バス対応)
- 園内は屋外歩行が中心。季節や天候に応じた服装・足元がおすすめです。
アクセス(公共交通)
- 電車+バス:JR身延線「富士宮駅」下車 → 路線バスで「猪の頭」下車、徒歩約1分。
※時刻・運行は季節で変わることがあります。お出かけ前に最新情報をご確認ください。
アクセス(車)
- 東名高速 富士IC/新東名 新富士ICから国道139号方面へ。
県道414号に入り案内標識に従って約30〜40分。
朝霧高原・田貫湖方面の観光と組み合わせた周遊にも便利です。
地図の見方
- 「静岡県水産技術研究所 富士養鱒場」でGoogleマップ検索が便利です。
カーナビ利用時は住所(猪之頭579-2)または施設名で検索してください。
第2節:施設概要と特徴





富士養鱒場は、富士山の湧水が豊かに流れる富士宮市・猪之頭エリアに広がる養鱒(ようそん)施設です。敷地はおよそ4万5千㎡と広く、富士箱根伊豆国立公園の一部に含まれる自然環境の中で運営されています。場内には大小の養殖池が整然と並び、年間を通して水温が安定した清らかな伏流水を引き込むことで、ニジマスの飼育に適した環境を保っています。
養殖のスケールも見どころの一つです。場内には多数の池が設けられ、稚魚から成魚まで段階ごとに分けて管理。巡回路から池をのぞくと、光を受けて群れがきらめく様子を間近で観察できます。養殖池の配置や水路の流れ方、池ごとの役割が整っているため、初めてでも「どうやって育てているのか」をイメージしやすいのが特徴です。
また、ここは「研究」と「体験」が同居する拠点です。公的な研究機関として、水産・養殖に関する調査や飼育管理、魚の病気の診断などが行われ、その成果の一部は本館1階の展示室でわかりやすく紹介されています。隣接エリアでは、直営の釣り場が営業しており、手ぶらでも気軽にニジマス釣りを体験できます。学びながら遊べる、この“二つの顔”が富士養鱒場の大きな魅力です。
環境面への配慮も徹底されています。富士山の湧水という地域の資源を大切にしながら、池の水の循環や場内の衛生管理を丁寧に実施。自然景観を損なわない運営方針のもと、四季の変化とともに周辺の緑や水辺の表情も楽しめます。散策路は歩きやすく整備されており、天候や季節に合わせた服装でゆっくり見学するのがおすすめです。
第3節:研究施設としての役割

富士養鱒場は、観光スポットであると同時に静岡県の公的な水産研究拠点でもあります。ここでは、ニジマスを中心に、アマゴ・イワナ・カワマス・ブラウントラウト、さらにはチョウザメ(キャビアの原料となる魚)など、淡水魚の飼育・研究・改良が日々進められています。
主な取り組み
- 養殖技術の研究・改良
えさの与え方や水温管理、育て方の工夫などを積み重ね、元気でおいしい魚を育てるためのノウハウを磨いています。品種改良や品質向上の試験も行われます。 - 魚の病気の相談・診断
養殖現場から持ち込まれたサンプルを調べ、原因や対策を助言します。地域の生産者を支える「相談窓口」の役割も担っています。 - 衛生・安全の徹底
研究で使った水は殺菌処理をしてから外へ流すなど、外部に病原体を持ち出さない仕組みを整えています。見学者が安全に学べるのは、こうした厳密な管理があるからです。 - 在来種の保全に関する調査
静岡県内にすむ在来のイワナ(ヤマトイワナ)を守るため、放流魚との交雑など、自然環境の課題にも目を向けています。
展示室で「研究の成果」をわかりやすく
本館1階の展示室では、ニジマス養殖の歴史や飼育の仕組み、県内の淡水魚について、パネルや水槽展示で楽しく学べます。養殖池では上からしか見えない魚も、展示水槽なら横から観察でき、魚の体のつくりや泳ぎ方がよくわかります。
学校の社会科見学や、夏休みの自由研究のテーマにもおすすめです。
「研究×体験」が同じ場所にある意味
研究で培った技術は、隣接の直営釣り場や地域の養殖業にすぐに役立つ形で還元されます。訪れる人にとっては、学んだことをその場で体験につなげられるのが魅力ですし、地域にとっては産業と観光の両面でメリットが生まれます。
第4節:釣り体験と料金


富士養鱒場では、道具一式がそろった直営の釣り場でニジマス釣りを楽しめます。はじめてでも分かりやすいルールと料金体系で、家族連れや観光の合間の“短時間アクティビティ”としても人気です。
料金の考え方(観覧料+釣り堀料金)
見学用の観覧料と、釣りをするための釣り堀料金はそれぞれ必要です。
- 観覧料:大人(高校生以上)300円/小中学生100円
※70歳以上、障がいのある方と介助者1名は無料。団体割引あり。 - 釣り堀 基本料金:一竿 1,800円
竿・餌・仕掛けが含まれ、釣果1kgまで込み。
1kgを超えた分は100gごとに130円の追加精算。
スタッフによる内臓除去サービス(はらわた出し)無料で持ち帰りもスムーズです。
ポイント
・手ぶらOK(道具込み)/家族で1本をシェアするより、人数分の竿を用意すると体験しやすいです。
・持ち帰り用の氷・クーラーボックスは現地で購入可能。ドライブやキャンプの予定がある方に便利。
その場で味わう「焼きマス」サービス
釣ったニジマスは、串・炭代として1尾につき200円を支払えば、現地で焼いて味わえます。
開催はゴールデンウィーク・お盆・祝祭日・春〜秋の毎週日曜などに限定されるため、出かける前に実施日をご確認ください。手軽に“釣って・焼いて・食べる”まで楽しめるのが魅力です。
釣りの流れ(はじめてでも安心)
- 受付で人数・竿数を伝え、観覧料と釣り堀料金を支払う
- 竿・餌・仕掛けを受け取り、スタッフの説明を聞く
- 池へ移動して実釣(安全のため、小さなお子さまは保護者同伴)
- 釣果を計量(1kg超過分は追加精算)
- 持ち帰り or 焼きマス(開催日)を選ぶ
所要時間の目安
混雑状況や釣りのペースにもよりますが、体験の目安は1〜2時間。朝霧高原や田貫湖など周辺観光と組み合わせやすいボリュームです。
第5節:ルアー・フライフィッシング

富士養鱒場の直営釣り場は、エサ釣りだけでなくルアー・フライにも対応しています。観光の“お手軽体験”から一歩進んで、トラウトらしい引きを狙いたいアングラーにも満足度の高いフィールドです。
利用スタイルと持ち物
- タックル持ち込み可:ロッド・リール・ルアー/フライは自前のものを使用できます。
- 服装の目安:帽子・偏光グラスがあると水中の魚影が見やすく、安全面でも安心。季節に応じて防寒・レイン対策を。
- 足元:池畔は濡れて滑りやすい場所もあるため、滑りにくい靴がベター。
専用エリアとルール
- ルアー・フライ専用エリアがあります。案内表示とスタッフの指示に従って釣行してください。
- 必須:バーブレスフック(かえしのない針)のみ使用可。魚体へのダメージを抑えるための大事なルールです。
- リリース前提の釣り場ではないため、持ち帰り(計量)基準や超過料金の仕組みはエサ釣りと同様に適用されます。
- ネットはラバー系のランディングネットがおすすめ。魚体保護と手返しの良さを両立できます。
初めての方へのヒント
- 明滅・アピールの強い定番色(シルバー、ゴールド、黒系、ナチュラル等)を数種用意すると状況対応しやすいです。
- クリアな水質では、小型スプーン/スピナー、フローティング系ミノー、フライならニンフ/ウェット/小型ストリーマーが扱いやすい傾向。
- 日中の食いが渋い時間は、レンジを下げる/スピードを落とす/サイズを落とすなど小さな調整が効きます。
マナーと安全
- 後方に人がいないか常に確認してキャスト時の接触事故を防止。
- フックは必ずバーブレスに成形(つぶす)し、外れやすい分、テンションを抜かないやり取りを意識。
- 釣れた魚は濡らした手やラバー網で優しく扱い、計量・持ち帰りの動線に従ってスムーズに処理しましょう。
第6節:施設利用の注意点とFAQ
利用時の基本ルール
- 見学(観覧)と釣りは別料金です。場内を見て回る場合は観覧料、釣りをする場合は釣り堀料金が必要になります。
- 安全第一:池の縁は濡れて滑りやすい場所があります。滑りにくい靴、動きやすい服装で。お子さまは必ず保護者が付き添ってください。
- 自然環境への配慮:ゴミは持ち帰り、餌や魚の残渣は所定の場所へ。水辺の植物や設備を傷つけないようにしましょう。
ペット(犬)について
- ペット同伴可否は時期やエリアにより取り扱いが変わる場合があります。研究施設に隣接している特性上、見学エリア・屋内は制限がかかることもあります。最新情報を事前にご確認ください。
※リード着用・フンの持ち帰りなど、一般的なマナーの順守をお願いします。
食事・持ち物
- 食事処の現況:隣接の「鱒の家」は現在休業中です。場内では、開催日に限り釣ったニジマスの塩焼き(焼きマス)を味わえます。
- 持ち帰り:釣った魚は内臓処理サービス(無料)で持ち帰りがスムーズ。クーラーボックスや保冷剤があると便利(現地販売あり)。
- あると安心:帽子、日焼け・雨対策、虫よけ、ウェットティッシュ、タオル。ルアー・フライの方は偏光グラスも推奨。
よくある質問(FAQ)
Q. 料金はいくら?(観覧・釣り)
A. 観覧は大人300円/小中学生100円。釣りは一竿1,800円(1kgまで込み)、超過は100gごとに130円です。
Q. 手ぶらで行っても大丈夫?
A. 竿・餌・仕掛け込みの料金なのでOK。初めてでもスタッフが使い方を案内してくれます。
Q. 釣った魚はその場で食べられる?
A. 開催日に限り、焼きマス(串・炭代として1尾200円)で味わえます。実施日は事前確認を。
Q. どんな施設?見学だけでも楽しめる?
A. 研究とレジャーが同じ場所にあるのが特色。展示室でニジマス養殖や淡水魚について学び、屋外では池の様子を観察できます。釣りをしない方でも見学で楽しめます。
Q. ルアーやフライはできますか?
A. 専用エリアあり。バーブレスフック必須などのルールがあります(詳しくは現地案内に従ってください)。
Q. どのくらいの時間を見ればいい?
A. 見学のみなら30〜60分、釣り体験は1〜2時間が目安。周辺観光(田貫湖・朝霧高原など)とセットの半日プランが人気です。
Q. ベビーカーや車椅子は?
A. 園内は屋外の通路が中心で、段差や未舗装区間もあります。介助があれば移動しやすくなります。雨天時は滑りやすい場所があるためご注意ください。
Q. 混雑する時期は?
A. 連休、夏休み、行楽の好天日、焼きマス実施日などは混みやすい傾向。朝の早い時間帯や平日が比較的ゆったり過ごせます。
第7節:周辺観光と楽しみ方

富士養鱒場のある猪之頭(いのかしら)エリアは、朝霧高原〜田貫湖〜白糸の滝などの名所が点在する自然豊かな一帯。見学や釣りと組み合わせると、半日〜1日の小旅行が気持ちよくまとまります。
一緒にめぐりたい自然スポット
- 田貫湖:富士山のシルエットがきれいに映る湖。散策路が整備され、春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉も見どころ。
- 白糸の滝・音止の滝:世界文化遺産の構成資産。湧水が扇状に流れ落ちる白糸の景観は圧巻。
- 陣馬の滝:観光地化されすぎていない小さな滝。夏場はマイナスイオンたっぷりで涼めます。
- 朝霧高原:雄大な放牧地と富士山の眺望。ドライブやソフトクリーム目当ての立ち寄りにも最適。
体験・家族向け施設
- 富士ミルクランド/まかいの牧場:乳しぼりや動物ふれあい、ソフトクリームなど、家族でゆっくり過ごせる観光牧場。
- 道の駅 朝霧高原:物産・グルメ・眺望がそろう便利拠点。「富士のにじます」関連品の購入にも。
旅程の組み立て例
半日(午前)プラン
見学(展示室)→ 直営釣り場で1〜2時間 → 焼きマス(開催日) → 道の駅で休憩・買い物
半日(午後)プラン
田貫湖散策 → 富士養鱒場で見学&釣り → クーラーで持ち帰って夕食の一品に
1日ゆったりプラン
白糸の滝 → 朝霧高原ドライブ → 富士養鱒場(見学+釣り) → 道の駅で地元グルメ
キャンプ・宿泊とセットで
朝霧高原周辺はキャンプ場が充実。釣ったニジマスは内臓処理済みで持ち帰れるので、BBQでの一品にぴったり。ホテル派なら、御殿場方面・富士宮市内にも選択肢があり、湖畔の朝散歩+釣りの“水辺連泊コース”もおすすめです。
食の楽しみ方
- 養鱒場の「焼きマス」は開催日限定。実施がない日は、市内のニジマス料理店や、物産でにじます加工品を探してみましょう。
- ソフトクリーム、ヨーグルト、チーズなど高原乳製品は外せない定番。ドライブの合間にどうぞ。
第8節:まとめ
富士養鱒場は、「学ぶ」×「遊ぶ」が一か所でかなう希少なスポットです。富士山の湧水という恵まれた環境を舞台に、公的研究機関としての取り組みを展示室で学び、隣接の直営釣り場でニジマス釣りを体験できます。見学だけでも楽しめ、釣りを加えれば旅の満足度が一段と高まります。
- 魅力の核:清らかな伏流水/広い養殖池/研究施設の公開/手ぶらでOKの釣り体験
- 体験のしやすさ:観覧料+釣り堀料金の明快な仕組み、内臓処理サービス、焼きマス(開催日)で“釣って食べる”まで完結
- 安心ポイント:バーブレス必須など魚体保護のルール、安全・衛生管理の徹底
こんな人におすすめ
- 家族で自然や生きものに触れたい
- 自由研究・社会科見学のテーマを探している
- 旅先で短時間でも“その土地らしい体験”を入れたい
- 初心者~中級者のトラウト釣りを気軽に楽しみたい
訪問前チェック
- 営業時間・休業日、料金(観覧+釣り)
- 焼きマスの実施日(開催日限定)
- 服装と足元(屋外見学/水辺で滑りやすい箇所あり)
- 持ち帰り用の保冷手段(現地購入も可)
周辺には田貫湖・白糸の滝・朝霧高原などの名所が揃い、半日~1日の周遊プランが立てやすいのも魅力。富士山の麓らしい水と緑の風景と、ニジマスの学びと体験を、同じ一日で味わえる場所です。
第9節:参考文献・情報一覧
- 静岡県 水産・海洋技術研究所「富士養鱒場」公式サイト
https://fish-exp.pref.shizuoka.jp/fuji/ - 同・観覧案内(見学・展示室)
https://fish-exp.pref.shizuoka.jp/fuji/0006/viewing.html - 同・施設案内(本館・魚病相談室・水槽実験室・免疫実験棟 など)
https://fish-exp.pref.shizuoka.jp/fuji/0006/shisetsu.html - 同・アクセス案内
https://fish-exp.pref.shizuoka.jp/fuji/0006/access.html - 富士養鱒漁業協同組合「直営釣り場のご案内」
https://www.fujiyoson.com/fishingarea/ - 富士養鱒漁業協同組合「場内マップ・各種案内」
https://fujiyoson.com/map.html - 富士宮市観光協会「富士養鱒漁業協同組合直営 にじます釣り場」
https://fujinomiya.gr.jp/guide/1208/ - しずおか観光情報(HELLO NAVI)富士養鱒場
https://hellonavi.jp/detail/page/detail/1380 - 富士宮市公式:猪之頭公園
https://www.city.fujinomiya.lg.jp/1025200000/p001802.html - 田貫湖(周辺観光の基礎情報・周遊の参考に)
富士宮市観光協会: https://fujinomiya.gr.jp/guide/177/ - じゃらんnet:富士養鱒場 周辺ホテル/グルメ
ホテル: https://www.jalan.net/kankou/spt_22207cb3530080321/yad/
グルメ: https://www.jalan.net/kankou/spt_22207cb3530080321/gourmet/ - tenki.jp レジャー(天候・服装計画の参考に:富士養鱒場)
https://tenki.jp/leisure/5/25/164/4532/