第1節|基本情報(概要・マップ・標高)
尾白川渓谷(おじらがわけいこく)は、山梨県北杜市白州町にある渓谷。南アルプス・甲斐駒ヶ岳を源とする清流で、「日本名水百選」に選ばれた名水のエリアとして知られます。エメラルドグリーンの水色と白い花崗岩の川底がつくるコントラスト、そして滝と淵が点在する景観が大きな魅力です。
主な見どころは、駐車場から徒歩約15分で着く「千ヶ淵」、三段の流れが見応えの「神蛇滝」、渓谷最深部の「不動滝」など。渓流沿いに進む“渓谷道”と、復路に使われることの多い“尾根道”を組み合わせて周遊できます(詳細はモデルコース節で解説)。
地形と標高の目安としては、駐車場付近が約770m、渓谷全体ではおおむね約770~1,100mのレンジ。内陸高地ゆえに夏でも水温は低く、春秋は朝夕が冷え込みます。服装・装備は季節と行程に応じたレイヤリングを基本に考えましょう(装備の詳細は「服装・持ち物」節へ)。
現地の位置把握には、入口近くの「竹宇駒ヶ岳神社」(安全祈願にも立ち寄れる)と、駐車場・吊り橋・千ヶ淵までの導線を押さえるのがコツ。サイト内の周辺マップ(埋め込み地図)も併用しつつ、往路は渓谷道、復路は尾根道という“一方通行”イメージで全体像を掴んでおくとスムーズです。
ポイントまとめ
・名水百選の清流と滝・淵が連続する渓谷美が魅力。千ヶ淵(初心者向け)、神蛇滝・不動滝(健脚向け)。
・標高は約770~1,100m。駐車場は約770m。気温・水温は低めで季節装備が前提。
・入口ランドマークは竹宇駒ヶ岳神社。現地マップと動線の事前確認が安心。
第2節|アクセス(車・電車+タクシー・シェア型)
車でのアクセス
- 中央自動車道・須玉ICから約25〜30分が目安。現地カーナビ設定は、駐車場内にある売店「おじろ」を目的地にすると迷いにくいです。
- 現地入口の目印は竹宇駒ヶ岳神社と吊り橋。駐車後は神社側から渓谷へ入ります。
混雑期(夏・紅葉)は駐車場や周辺道路が混み合います。早朝到着を基本に、ピーク時間(10:00〜15:00頃)を外すのが賢明です。
電車+タクシー
- 最寄駅はJR中央本線の長坂・小淵沢・日野春。各駅から登山口(駐車場)までは車/タクシーで約30分が目安です。
- 記事の現行情報では小淵沢駅→登山口(駐車場)がタクシーで約20分との記載もあります(交通状況で差が出ます)。
- タクシー費用は距離換算で概算6,000〜8,000円程度を見込み、往復送迎の予約を推奨します。
駐車と導線(要点)
- 駐車場は無料/普通車約100台・大型可。混雑期は満車対策として早着・時間分散・近隣拠点からのタクシー利用を計画に入れておくと安心です。詳細は次節「駐車場ガイド」で整理します。
シェア型(登山)タクシーについて
- 白州〜登山口エリアでは期間限定の登山者向け交通が運行される年もあります。実施有無・期間・予約方法はその年の公式案内に従って下さい(本記事末の「参考情報一覧」参照)。※運行がない年もあります。
まとめ
・車は須玉ICから約25〜30分、ナビは「売店おじろ」が便利。
・電車は長坂/小淵沢/日野春→タクシー約30分(状況により20分程度のケースあり)。
・駐車場は無料(普通車約100台)。混雑期は早着+代替プランを。
第3節|駐車場ガイド

基本情報
尾白川渓谷入口の駐車場は無料。普通車は約100台、大型車も数台駐車可能で、標高は約770mです。場内にはトイレと売店「おじろ」があり、ナビ目的地にも便利です。
場所と動線(初めての方向け)
駐車後は竹宇駒ヶ岳神社側から入渓し、入口の吊り橋を渡って千ヶ淵方面へ。千ヶ淵までは徒歩目安約15分です。
混雑時期の傾向と回避策
紅葉期(例年10月下旬~11月上旬)や夏の週末は満車になりやすく、10:00~15:00がピーク帯。早朝到着(~9:00)や平日・夕方の訪問が有効です。
満車時の代替案
- 近隣駅(長坂/小淵沢など)の有料駐車場+タクシーで約30分移動するプランを事前に用意。
- 近隣観光拠点の駐車場を目的外利用しない(施設のルール順守)。必要に応じて公共交通の活用や時間帯の工夫を。
季節運用上の注意
渓谷道は冬季(概ね12月中旬~4月中旬)閉鎖。駐車できてもコースの多くが入れないため、開放状況を事前確認しましょう。
メモ(ナビ・コード類)
駐車場のマップコード等は公式案内で確認推奨。ナビは「売店おじろ」指定が確実です。
まとめ
・無料/約100台、トイレ・売店おじろあり。標高約770m。
・紅葉期・夏は早朝到着が基本。ピークは10:00~15:00。
・満車時は駅前駐車+タクシー等の代替を準備。
第4節|モデルコースと所要時間

A)千ヶ淵おさんぽ(往復30〜40分|初心者・子連れ向け)
- コース:駐車場 → 吊り橋 → 千ヶ淵(往復)
- 目安時間:片道約15分(往復30分前後)
- 見どころ:エメラルドグリーンの淵、白い花崗岩の川底。歩道は比較的整備され、最初の一歩に最適。
- 注意:水辺は滑りやすい。夏でも水温は低いので長時間の水遊びは控えめに。
B)神蛇滝ハイライト周回(2〜2.5時間|健脚向け)
- コース:駐車場 → 渓谷道(千ヶ淵 → 旭滝・百合ヶ淵)→ 神蛇滝 → 尾根道で下山(周回)
- 目安時間:神蛇滝まで片道約1時間半。休憩を含む周回で約2〜2.5時間が目安。
- 見どころ:三段に落ちる神蛇滝。往路は渓谷のせせらぎ、復路は尾根上の展望で変化に富む。
- 歩行上のポイント:渓谷道は狭く急斜面・鎖場あり。行きは渓谷道/帰りは尾根道の一方通行イメージが安全。
C)不動滝までフル周回(約3時間|登山装備推奨・中級以上)
- コース:駐車場 → 渓谷道(千ヶ淵 → 旭滝 → 百合ヶ淵 → 神蛇滝)→ 不動滝 → 尾根道で下山(周回)
- 目安時間:約3時間(休憩含まずの標準)。片道は不動滝まで約2時間が目安。
- 見どころ:渓谷最深部の不動滝(標高約1,100m)、不動大橋からの眺望。
- 歩行上のポイント:渓谷道は急斜面・鎖場・吊り橋あり。登山靴・レイン/防寒・ヘッドランプなど装備前提。増水・落石・滑落リスクに留意し、下山は尾根道推奨。
共通の注意(全コース)
- 渓谷道は登山道:千ヶ淵から先は難易度が上がります。無理をせず、体力・装備・天候で判断を。
- 冬季閉鎖:渓谷道は例年12月中旬〜4月中旬閉鎖。開放状況を事前確認。
- 安全第一:ガレ場・痩せ尾根・増水・滝壺付近は事故多発要因。飛び込み厳禁、状況悪化時は引き返す。
目安早見表
・千ヶ淵:往復30〜40分|初級
・神蛇滝:周回2〜2.5時間|中級(片道約1.5h)
・不動滝:周回約3時間|中級+装備推奨(片道約2h)
第5節|主な見どころ(滝・淵・神社)
竹宇駒ヶ岳神社(入口ランドマーク)

尾白川渓谷の入口に鎮座。参道の先が入渓点で、まず安全祈願してから吊り橋へ向かうのが定番です。境内は杉木立に包まれ、厳かな雰囲気。
吊り橋(入渓の第一景)

駐車場・神社からすぐ。渓谷のスイッチとなる橋で、渡った先から千ヶ淵方面へ。尾白川のエメラルド色と深い谷のコントラストを体感できます。
千ヶ淵(せんがふち)

駐車場から徒歩約15分。白い花崗岩の川床に、透き通るエメラルドグリーンがたたえられる名所。夏は水辺遊びも人気ですが、水温は低く滑りやすいので長居と飛び込みは控えめに。
旭滝(あさひたき)・百合ヶ淵(ゆりがふち)
千ヶ淵の先、渓谷道を上流へ。鎖場や細いトラバースが現れる区間で、登山装備と慎重な足運びが前提。静けさの中で水の落ちる音が響く、中流域のハイライトです。
神蛇滝(じんじゃたき)


落差約30m、尾白川渓谷を象徴する三段の段瀑。展望地点からの俯瞰が迫力で、足元は岩場かつ滑りやすいので立ち位置に注意を。片道は目安1時間半、健脚向けの到達点です。
不動滝(最深部の大滝)
標高約1,100m、渓谷最深部のクライマックス。付近の不動大橋はビューポイントで、滝を側面に望むことができます。ここまで来たら下山は尾根道推奨。増水・落石・滑落に十分注意を。
観賞のコツと安全メモ
- 往路は渓谷道/復路は尾根道が基本。難所(鎖場・狭い斜面・吊り橋)では立ち止まって三点支持。
- ぬれた岩・ガレ場・痩せ尾根では転倒・滑落リスクが高い。撮影時は通行の妨げにならない場所で。
- 冬季(概ね12月中旬〜4月中旬)は渓谷道が閉鎖。開放状況を事前確認。
第6節|安全情報(必読)
1) コースの性質と難所
- 千ヶ淵より上流は“登山道”。狭いトラバース、鎖場・はしご・吊り橋が随所にあり、滑落・転倒リスクがあります。登山靴と登山装備が前提です。
- 危険箇所の代表例:ぬれた岩・浮石の多い急斜面、滝壺周辺、崩落跡や狭い高巻き。状況により通行止めやルート変更もあり得るため、現地掲示と直近の情報で判断してください。
2) 冬季閉鎖・通行情報
- 渓谷道は例年12月中旬〜4月中旬に冬季閉鎖。閉鎖期間中は立入禁止となるため、訪問前に開放状況を必ず確認しましょう。
- 無雪期でも増水・崩落などで一部区間が止まる場合があります。最新の通行可否をチェックしてから計画を。
3) 天候・増水と撤退判断
- 尾白川は急な増水が起こり得ます。にわか雨・雷雨予報の日は入渓を避ける/早めに撤退を。渡渉や滝壺付近への接近は控え、飛び込みは極めて危険です。
- ルート全体は中程度難度でも、判断力・体力切れが事故要因になります。無理をせず引き返す勇気を。
4) 装備・服装の基準
- 千ヶ淵まで:滑りにくい靴(トレッキング/しっかりしたスニーカー)、レイン層、防寒(標高約770m・水辺で体感温度低め)。
- 千ヶ淵より先:登山靴必須+ヘッドランプ・地図アプリ/紙地図・予備行動食・救急セット。サンダル不可。
- 尾根道下山の基本:往路は渓谷道、復路は尾根道の“一方通行”イメージが安全です。
5) ナビゲーションと情報収集
- 地図アプリ(YAMAP等)や最新の山行記録、自治体ページで、前日の時点情報を必ず確認。紙地図とモバイルバッテリーも携行を。
6) 野生動物・自然リスク
- クマ・ハチ出没情報が出る年があります。熊鈴・ホイッスルの携行、単独・早朝夕方の藪通過を避けるなど基本対策を。
- ヒル(時期・場所による)や落石にも注意。帽子・長袖長ズボン・目立つ色のレイヤーが有効です。
7) 水辺の行動マナー
- 千ヶ淵での水遊びは可能でも、水温が低く流れも急。長時間の入水や滝壺接近・飛び込みはしないこと。
8) 体調・計画管理
- 所要目安は神蛇滝周回で2〜2.5時間、不動滝周回で約3時間。朝出発・余裕ある下山時刻設定で、遅出は避けましょう。
- 単独行は避けるか、登山届アプリ等で行動計画を共有しておくと安心です。(一般論)
安全まとめ
・12月中旬〜4月中旬は渓谷道閉鎖。開放状況を事前確認。
・千ヶ淵から先は登山道:登山靴+必携装備で。
・増水・崩落・落石・滝壺接近・飛び込みに注意。危険を感じたら即撤退。
第7節|季節の楽しみ方

春(4〜5月)|新緑と残雪稜線
甲斐駒ヶ岳を源とする清流に若葉色が映え、光量のやわらかい午前中は水の“エメラルド”が出やすい時季。千ヶ淵までの散策でも十分に渓谷美を味わえます(千ヶ淵は駐車場から徒歩約15分)。
夏(6〜8月)|清涼のベストシーズン
水辺は盛夏でも水温が低く、短時間の水遊び向き。長居や滝壺への接近・飛び込みは避け、安全第一で楽しみましょう。混雑しやすいので早朝入渓+昼前下山が快適です。
秋(10〜11月)|紅葉のピークと混雑対策

見頃の目安は10月下旬〜11月下旬。上流(神蛇滝・不動滝付近)から早く色づき、下流(吊り橋付近)は遅めに推移します。最盛期は人出が多く、渋滞・満車対策として平日・早朝の訪問がおすすめ。夕方以降はライトアップ等の催しがある場合、再び混雑する年もあるため時間帯の工夫を。
冬(12〜4月中旬)|渓谷道は原則クローズ
渓谷道は例年12月中旬〜4月中旬に冬季閉鎖。立入禁止期間は千ヶ淵より先の登山的区間は歩けません。開放状況は出発前に必ず最新情報で確認してください。
季節の要点
・春:やわらかな光で水色が映える。千ヶ淵までの散策が手軽。
・夏:水は冷たい=短時間の水遊び向き。混雑回避は早出。
・秋:上流→下流の順で色づく。10月下旬〜11月下旬が目安、平日・早朝有利。
・冬:12月中旬〜4月中旬は渓谷道閉鎖。最新情報を要確認。
第8節|服装・持ち物チェックリスト
レベル別の基本装備
A|千ヶ淵まで(往復30〜40分/散策)
- 靴:滑りにくいスニーカー or ローカットのトレッキングシューズ。サンダル不可。
- 服装:動きやすい速乾ウェア+薄手の防寒(標高約770m・水辺で体感温度低め)。
- 最低限:レイン(上下)、飲料水、行動食、タオル。
B|神蛇滝まで(周回2〜2.5時間/健脚)
- 靴:登山靴(推奨)。渓谷道は細いトラバースや鎖場あり。
- 服装:長袖・長ズボン推奨、レイン上下、防寒ミッドレイヤー。
- 装備:地図アプリ(紙地図も)・モバイルバッテリー・ヘッドランプ・救急セット。
C|不動滝まで(周回約3時間/中級以上・登山装備前提)
- 靴:しっかりした登山靴必須。鎖場・吊り橋・急斜面に対応。
- 服装:長袖・長ズボン、保温着、レイン上下。水飛沫と風で冷える前提。
- 装備:ヘッドランプ、手袋、ストック(任意)、救急セット、非常食、予備水、地図アプリ+紙地図、バッテリー。
共通の必携・あると安心
- レインウェア(上下)/防寒着:渓谷は体感温度が下がりやすい。にわか雨・増水で撤退判断も。
- 飲料水・行動食:コース上に補給なし。
- 地図アプリ+紙地図・コンパス:道迷い対策。GPSの併用と電源確保。
- 応急セット(テーピング・三角巾・消毒など)と常備薬。ガレ場での捻挫・擦過傷に備える。
- ヘッドランプ:万一の遅延・薄暗い区間に備える。
- 手袋(岩場・鎖場対策)、タオル、ゴミ袋。
季節・環境に応じた追加
- 夏:日差し対策(帽子・サングラス)と短時間の水遊び前提のタオル/替え靴下。水は非常に冷たい。
- 秋:紅葉期は混雑=早出。気温差に対応できるレイヤリングと防寒小物。
- 冬季(12月中旬〜4月中旬):渓谷道は閉鎖。入渓不可。
渓谷ならではのNG・注意
- サンダル/ヒール/厚底は不可。濡れた岩で滑り、転倒・滑落リスクが高い。
- 軽装のまま上流へ進まない:千ヶ淵から先は登山道。無理せず引き返す。
- 飛び込み禁止レベルで危険:滝壺接近は避ける。水温が低く、流れも急。
- ヒル・クマ等の自然リスク:長袖長ズボン・目立つ色・熊鈴等で予防。
早見表
・千ヶ淵まで=滑りにくい靴+レイン・薄手防寒/神蛇滝=登山靴+地図・ヘッドランプ/不動滝=登山装備一式。
第9節|スマホで楽しむ写真撮影のコツ
尾白川渓谷は、自然光や水の透明感がとても美しい場所です。特別なカメラがなくても、スマートフォンで十分に魅力的な写真を撮ることができます。ここでは、観光で訪れた方でも気軽に試せる撮影のポイントをご紹介します。
1.午前中の光を味方に
渓谷では、午前中のやわらかい光が写真に最適です。昼を過ぎると木々の影が濃くなり、滝や水面が暗く写りがちになるため、午前9〜11時頃がベスト。木漏れ日が水面に反射して、自然の輝きが美しく表現できます。
2.逆光をうまく使う
太陽を背にするだけでなく、あえて逆光気味に撮ると、水しぶきや木の葉の透け感がきれいに出ます。まぶしいときは、スマホ画面を指でタップして明るさを少し下げると、白飛びせずに自然な色合いになります。
3.構図は「3分の1」を意識
写真の上下や左右を3分の1ずつに分けた位置に被写体を置くと、バランスよく見えます。たとえば、滝を中央にせず少しずらすと、流れや周囲の森の雰囲気が自然に伝わります。
4.水面や滝を撮るときは「安定」重視
滝や流れをきれいに撮りたいときは、スマホをしっかり両手で支えるか、岩や橋の手すりなどに軽く置いて手ブレを防ぐのがポイント。シャッターを押すときは画面をタップするより、音量ボタンを使うと安定します。
5.「人」と「自然」を組み合わせる
人物を小さく入れると、スケール感や臨場感が出ます。たとえば、吊り橋を渡る人や滝を眺める後ろ姿を入れると、尾白川渓谷の広がりを感じられる一枚になります。顔がはっきり写らないように後ろ姿や遠景を選ぶと雰囲気も自然です。
6.しぶきや水滴でスマホを守る
滝近くでは水しぶきが多いため、レンズについた水滴でぼやけることがあります。撮影前にレンズを軽く拭くだけで、驚くほどクリアになります。スマホ用の防水ケースや簡易カバーがあると安心です。
7.編集アプリで明るさを少し調整
撮影後は、スマホ標準の編集機能で明るさやコントラストを少し上げるだけでも、渓谷の清涼感が際立ちます。加工しすぎず、自然な色合いを保つのがコツです。
尾白川渓谷の魅力は、自然そのものの美しさ。難しいテクニックよりも、光の向きや構図、レンズの汚れに少し気を配るだけで、SNSにも映える一枚を残すことができます。安全に気をつけながら、自然と一体になって撮影を楽しみましょう。
第10節|アクティビティとルール
川遊び(千ヶ淵中心に“足だけ”が基本)
- 短時間の水遊びは可の前提で、安全第一に。尾白川は水温が低く流れが急な箇所もあります。長時間の入水は避け、無理はしないでください。
- 滝壺(釜)への接近・飛び込みは極めて危険。増水や渦に巻かれる事故リスクが高いため、絶対に行わないでください。
- 子連れ・高齢者は千ヶ淵までのショートコースで楽しむのが安心。
北杜市役所「尾白川渓谷(千ヶ淵)遊泳について」

ハイキング(渓谷道は“登山”の心構え)
- 千ヶ淵より先は鎖場・吊り橋・急斜面あり。装備が整わない場合は進まない判断を。増水や落石などの自然リスクにも注意。
- 冬季(概ね12月中旬〜4月中旬)は渓谷道が閉鎖されます。立入禁止期間の入渓は不可。
釣り・バーベキュー
- 渓谷内は自然保護と安全の観点から、炭・直火・火器の使用は避けるのがマナーです。食事は持参・持ち帰りを徹底し、ごみは必ず全量持ち帰りましょう。(一般的マナー)
- 火気や釣りは“指定施設・指定エリア”で。周辺のキャンプ場や名水公園等での利用ルールを事前に確認して実施してください。
ペット同伴
- リード常時着用・フン持ち帰りが基本。水辺は滑りやすく水温も低いため、無理な入水はさせないでください。混雑時は通行の妨げにならない配慮を。
撮影・音・その他のマナー
- 吊り橋や狭い通路での立ち止まり・占有はNG。通行優先で短時間の撮影に。
- スピーカーでの音楽や大声は周囲の迷惑に。野鳥・野生動物への影響も考え、静かな観賞を。
- 植生の踏み荒らし・ドローン飛行は控え、表示・規制がある場合は必ず従ってください。(一般的マナー)
要点まとめ
・千ヶ淵での短時間の水遊びは可だが、滝壺接近・飛び込みは厳禁。
・千ヶ淵より先=登山道。装備がなければ進まず、冬季は閉鎖。
・火気・釣りは指定エリアで。ゴミ持ち帰り・静かな観賞を心がける。
第11節|周辺観光・温泉・ランチ
温泉(ハイキング後の立ち寄り)
- 尾白の湯(白州・尾白の森 名水公園べるが 内)
茶褐色の“赤湯”が特徴の日帰り温泉。歩いた体をしっかり温められます。施設は渓谷から車で近距離、園内には休憩・飲食施設も揃っています。
便利施設・買い物
- 道の駅はくしゅう
地場の野菜や名水スイーツ、テイクアウトが充実。渓谷からの帰り道に寄りやすく、食事や休憩に便利です。


工場見学・周辺観光
- サントリー白州蒸溜所/サントリー天然水 白州工場
「南アルプスの名水」のふるさと。見学は人気で混み合うことがあるため、事前の最新情報確認・予約前提で計画を。渓谷観光と合わせて“名水のストーリー”に触れられます。
ランチ/カフェの目安
- 渓谷周辺にはそば・カフェ・ジェラートなどの店が点在します。ピークシーズンは早めの時間帯が安心。営業情報は当日朝に各店の案内で確認しましょう。
ファミリー向け滞在
- 白州・尾白の森 名水公園べるが
温泉(尾白の湯)のほか、園内でBBQ・キャンプ等の指定エリアのアクティビティが楽しめます(利用ルールは園の最新案内で要確認)。
立ち寄りモデル
・半日プラン:千ヶ淵 → 道の駅はくしゅう(軽食・買い物) → 尾白の湯。
・1日プラン:神蛇滝まで周回 → 道の駅でランチ → (予約状況により)白州蒸溜所・天然水工場見学。
第12節|よくある質問(FAQ)
Q1. 千ヶ淵で泳げますか?
北杜市役所「尾白川渓谷(千ヶ淵)遊泳について」
https://www.city.hokuto.yamanashi.jp/docs/kankou_climinfo_caution_ojira_yuei.html
Q2. 観光の所要時間はどれくらい?
- 千ヶ淵のみ:往復約30分(駐車場から徒歩15分×2)
- 神蛇滝まで周回:2〜2.5時間
- 不動滝まで周回:約3時間
体力や装備、混雑・撮影時間で前後します。
Q3. いつ通行止めになりますか?
渓谷道は例年12月中旬〜4月中旬に冬季閉鎖。閉鎖期間中は入渓できません。直近の開放状況を必ず確認してください。
Q4. 駐車場の料金と台数は?標高は?
無料/普通車約100台、標高は約770mです。繁忙期は満車になりやすいので早着がおすすめ。
Q5. 最寄り駅とタクシーの目安は?
長坂/小淵沢/日野春(JR中央本線)が最寄り。登山口までは車・タクシーで約30分が目安です。
Q6. 水は飲めますか?
尾白川は名水百選の清流ですが、現地での“生水”の直飲みは推奨されません。飲料水は持参しましょう。
Q7. 服装は?スニーカーでも大丈夫?
千ヶ淵までは滑りにくい靴・レイン・薄手防寒でOK。千ヶ淵より先(神蛇滝/不動滝方面)は登山靴+登山装備が前提です。
Q8. 紅葉の見頃はいつ?
例年の目安は10月下旬〜11月下旬。上流→下流の順で色づきが進みます。
Q9. ペットは連れていけますか?
リード常時着用・フン持ち帰りなど基本マナーを守れば散策は可能です。水辺は滑りやすく水温も低いので、無理な入水は控えましょう。
Q10. 危険・事故が多いって本当?
過去に滑落事故の事例があります。千ヶ淵より上流は“登山道”と心得て、装備・天候・体力に応じて無理をしない計画を。危険を感じたら直ちに撤退しましょう。
Q11. 名水やパワースポットの見どころは?
エメラルドの千ヶ淵、段瀑の神蛇滝、渓谷最深部の不動滝が代表。神蛇滝はパワースポットとして触れられることもあります。
Q12. 費用はかかりますか?
駐車場は無料。入渓自体に料金はかかりませんが、タクシー利用時は片道約30分相当の運賃を見込みましょう。
第13節|モデルプラン
① 半日(午前)|千ヶ淵だけ“さくっと”+温泉
- 08:30 駐車場到着 → 竹宇駒ヶ岳神社で安全祈願
- 08:45 吊り橋を渡って千ヶ淵へ(徒歩約15分)
- 09:00–09:30 千ヶ淵で観賞・撮影(足元注意/短時間の水遊び可)
- 10:15 駐車場に戻る
- 10:30–12:00 尾白の湯(べるが内)で入浴・休憩
- 12:15 道の駅はくしゅうで軽食・買い物
(ポイント)千ヶ淵は往復約30分で手軽。温泉&道の駅を組み合わせると満足度が高い。
② しっかり1日|神蛇滝ハイライト周回+名水スポット
- 07:30 駐車場発 → 渓谷道で上流へ
- 09:00 神蛇滝に到着(片道約1時間半)
- 09:20 尾根道で下山開始
- 10:45 駐車場着(周回2〜2.5時間想定)
- 11:15 道の駅はくしゅうで昼食
- 13:00 白州・尾白の森 名水公園べるが(散策・入浴)または
サントリー白州蒸溜所/天然水 白州工場(要・最新情報確認と予約)
(ポイント)神蛇滝は健脚向け。復路は尾根道で安全に。午後は“名水の物語”に触れる見学や温泉でリカバリー。
③ 上級・自然満喫(無雪期)|不動滝フル周回+温泉
- 07:00 駐車場発 → 渓谷道(千ヶ淵→旭滝→百合ヶ淵→神蛇滝)
- 09:00 不動滝(最深部)へ到達(片道約2時間)
- 09:20 不動大橋を経て尾根道で下山
- 10:30–11:00 駐車場着(周回約3時間:休憩除く想定)
- 11:30以降 尾白の湯で温泉 → 道の駅はくしゅうや近隣カフェで昼食
(ポイント)渓谷の核心部。不動滝までは中級以上・登山装備で。天候と時間に余裕を。
④ 混雑回避プラン(紅葉期向け)
- 早朝出発(〜9:00着)で駐車&入渓 → 午前中に千ヶ淵または神蛇滝を往復
- 昼前に下山して道の駅はくしゅうで昼食 → 午後はべるが(尾白の湯)でゆったり
- 夕方以降は周辺道路が再混雑することがあるため、早めに撤収が快適
(ポイント)紅葉最盛期は早出・平日が有効。夕方にイベント等がある年は再度混み合う場合あり。
⑤ 電車+タクシー派の“ゆったり”半日
- 午前:JR長坂/小淵沢/日野春からタクシーで登山口へ(約30分) → 千ヶ淵を往復
- 昼:タクシーで道の駅はくしゅうまたはべるがへ移動し、食事・温泉
- 午後:駅へ戻って解散
(ポイント)運転の負担なしで、名水エリアのハイライトを効率よく楽しめます。
時間目安・装備の再確認
- 千ヶ淵:往復約30分(徒歩15分×2)/軽装で可
- 神蛇滝:周回2〜2.5時間/健脚・登山靴推奨
- 不動滝:周回約3時間(片道約2時間)/登山装備前提
- 入浴・買い物:尾白の湯/道の駅はくしゅうが便利
- 通年の注意:行き=渓谷道/帰り=尾根道を基本に、天候と体力で無理しない計画を。
第14節|訪問前チェックリスト
千ヶ淵や尾白川渓谷を訪れる前に、安全かつ快適に楽しむための基本事項をまとめました。天候・服装・装備・マナーなど、事前に確認しておきたいポイントを整理しています。
🧭 1. 天候と気温の確認
- 標高約770mに位置するため、平地より5〜6℃低め。夏でも朝夕は肌寒いことがあります。
- 前日・当日朝の天気予報を確認し、雨天・強風・増水時は入渓を避けましょう。
- 特に前日の雨で水量が増すと、滝壺や飛び石が滑りやすくなります。安全を最優先に。
👕 2. 服装と装備
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 靴 | 滑りにくいトレッキングシューズまたはスニーカー。サンダル不可。 |
| 服装 | 速乾性のある長袖・長ズボン。夏場でも虫よけ・日焼け対策に有効。 |
| 雨具 | 突然の雨に備え、軽量レインウェアを携帯。傘は危険。 |
| 防寒 | 春秋は薄手ダウンやウィンドブレーカーを。 |
| バッグ | 両手が空くリュック型が安全。飲料・行動食を入れておくと安心。 |
| その他 | 帽子・タオル・虫よけ・スマホ防水ケースなどもあると便利。 |
💧 3. 飲み物・食べ物
- 自販機は駐車場周辺に少数のみ。渓谷内に売店はありません。
- 名水の地ですが、現地の水を直接飲むのは避け、ペットボトル飲料を持参しましょう。
- 夏季は熱中症対策として500ml〜1L程度の水分を携帯。
🚗 4. 駐車場・トイレ
- 駐車場は無料・約100台収容。紅葉シーズンは朝9時までに到着が安心。
- トイレは駐車場にのみ。渓谷内には設置されていません。
- 駐車場周辺に観光案内板と登山口があり、竹宇駒ヶ岳神社を経て吊り橋に向かいます。
🧍♀️ 5. マナーと安全
- ゴミはすべて持ち帰り。渓谷内にゴミ箱はありません。
- 滝壺や岩場は滑りやすく、柵の外側には立ち入らないこと。
- ペット同伴の場合はリード着用・フンの持ち帰りを徹底。
- 音楽スピーカーなどの使用は避け、静かな自然を尊重しましょう。
🧰 6. 緊急時の備え
- 携帯電波はエリアによって弱い場所があります。
- 迷いや転倒の際は無理をせず、来た道を戻るのが原則。
- 周辺には「白州・尾白の森 名水公園べるが」など、休憩・温泉施設があり、体調を崩した際の避難場所としても安心です。
📆 7. 冬季閉鎖情報
- 渓谷道は例年12月中旬〜4月中旬にかけて冬季閉鎖。
- 開通・閉鎖の詳細は北杜市観光協会や山梨県公式サイトで最新情報を確認してください。
第15節|まとめ
尾白川渓谷は、南アルプスの豊かな自然がそのまま残る山梨県屈指の清流スポットです。特にエメラルドグリーンの千ヶ淵や神蛇滝・不動滝など、渓谷ならではの神秘的な景観は、訪れた人の心を強く惹きつけます。
しかしその美しさの裏には、自然の厳しさもあります。滑りやすい岩場や急勾配の山道、変わりやすい天候など、油断は禁物です。この記事で紹介したように、季節や天気に応じた服装・装備・行動計画を整えることが、安全で快適な旅の第一歩となります。
また、竹宇駒ヶ岳神社での参拝や、帰路の「尾白の湯」「道の駅はくしゅう」などを組み合わせれば、自然散策と癒しを同時に味わえる理想的な1日になります。
訪れる季節ごとに表情を変える尾白川渓谷。初夏の新緑、秋の紅葉、冬の静寂——何度訪れても新たな発見がある場所です。
ぜひ安全とマナーを守りながら、清流と滝の響きに包まれる静かな時間を楽しんでください。
参考情報一覧(公式・参考リンク)
公式・自治体・観光
- 北杜市 公式サイト(総合案内)
http://www.city.hokuto.yamanashi.jp/ - 北杜市観光情報サイト「ほくとナビ」:尾白川渓谷
https://www.hokuto-kanko.jp/spot/ojiragawa_valley/ - 北杜市(観光記事):尾白川渓谷
https://www.city.hokuto.yamanashi.jp/tourism/t-articles/ojiragawa-keikoku.html
道の駅・温泉・公園
- 富士山観光情報「道の駅はくしゅう」
https://fujiyamasan.com/hakushu/ - 白州・尾白の森 名水公園べるが(尾白の湯)
https://www.verga.info/(※公式トップ:園内・温泉案内)
工場見学(名水・ウイスキー)
- サントリー白州蒸溜所 見学案内
https://www.suntory.co.jp/factory/hakushu/ - サントリー天然水 白州工場
https://www.suntory.co.jp/factory/water/
アクセス(電車+タクシー目安)
- 行先別参考運賃(須玉三共タクシー)
http://cus4.kyohoku.jp/taxi/service/fare-charge2024/charter_price/
ハイキング・安全情報(通行・難所・装備)
- YAMAP モデルコース(尾白川渓谷)
https://yamap.com/model-courses/28550 - ヤマケイ(登山口ナビ):尾白川渓谷・矢立石 ほか
https://www.yamakei-online.com/trailhead/detail.php?id=1066
季節情報・紅葉
- 紅葉情報(ウォーカープラス・尾白川渓谷)
https://koyo.walkerplus.com/detail/ar0419e12861/
記事作成時に参照した補足(ガイド・旅行情報・参考記事)
- まっぷるトラベルニュース(尾白川渓谷 特集)
https://www.mapple.net/article/57206/ - 旅アト(尾白川渓谷の見どころ)
https://tabiato.co.jp/hokuriku-koshinetsu/yamanashi/%E5%B0%BE%E7%99%BD%E5%B7%9D%E6%B8%93%E8%B0%B7-%E7%BE%8E%E3%81%97%E3%81%84%E9%80%8F%E6%98%8E%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%B0%B4%E3%81%A8%E9%9B%84%E5%A4%A7%E3%81%AA%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%81%8C%E7%B9%94/ - やまのぼり記録・のやまあそび(千ヶ淵〜)
https://yamanekoforest.sakura.ne.jp/noyamaaruki/ojirogawa070825.html - ことりっぷ GLTJP(英語ガイド・尾白川渓谷)
https://www.gltjp.com/ja/directory/item/18032/ - Yahoo!トラベル:観光スポット情報(尾白川渓谷)
https://travel.yahoo.co.jp/kanko/spot-00025426/
必要に応じて、通行・閉鎖情報は出発直前に北杜市や観光協会の最新告知をご確認ください(上記「公式・自治体・観光」欄を参照)。また、季節の混雑(紅葉・夏休み)については最新の行楽情報や道路情報も合わせてチェックすると安心です。