「全国名水百選」にも選ばれる8つの池
「忍野八海」は山梨県忍野村にある八つの湧水池です。「出口池」、「御釜池」、「底抜池」、「銚子池」、「湧池」、「濁池」、「鏡池」、「菖蒲池」を指します。西暦800年の富士山延暦噴火により、宇津湖が山中湖と忍野湖に分かれました。忍野湖が後に渇水して盆地となったが、わずかに湧水池として残ったのが「忍野八海」です。
「忍野村」は名水の里として知られ、「忍野八海」からは霊峰富士山の雪解け水が長い歳月をかけて湧き出しています。湧き出してくる伏流水は年間を通じて冷たく、その美味しさも名水の名に恥じないものです。
「忍野八海」は国の天然記念物に指定され(1934年)、全国名水百選(1985年)、県富嶽百景選定地(1993年)にも選ばれています。平成25年(2013年)6月には 世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として「忍野八海」が登録されています。
8つの池は出口池、お釜池、底抜池、銚子池、湧池、濁池、鏡池、菖蒲池と呼ばれ、それぞれに言い伝えがあります。古くから信仰の対象となり、富士講の人々が身を清める場所として使われてきました。
忍野八海の各池の説明
忍野八海の8つの池の名前とその由来は以下の通りです:
出口池(でぐちいけ)
世界文化遺産富士山構成資産番号:13 一番霊場。 忍野八海の中でも離れた場所にある池。富士登山をする行者たちがこの水で穢れを祓い、水を汲んでいけば無事登山できるとの言い伝えがあり、別名精進池といいます。
お釜池(おかまいけ)
世界文化遺産富士山構成資産番号:14 二番霊場。かつては釜の中で湯が沸騰するように水が湧き出ていた事からお釜池と名付けられました。ガマガエルが娘を引きずり込んだという伝説から「大蟇池」とも呼ばれています。忍野八海の中で最小の池ですが、水深が最も深く、水が青く底まで見通せます。
底抜池(そこなしいけ)
世界文化遺産富士山構成資産番号:15 三番霊場。洗物が消えると云う伝説のある池です。なくした洗い物は見つからず、後にお釜池に浮かび上がってきたとのことで、底を通り抜けるという意味から「底抜池」になったといわれています。底抜池は「はんの木林資料館」の敷地内で、見学するには入館料が必要です。
銚子池(ちょうしいけ)
世界文化遺産富士山構成資産番号:16 四番霊場。阿原川沿い脇の草地の中にある池で、花嫁が銚子(酒を注ぐ器)を抱えて身投げをしたという伝説がある池です。形状が銚子に似ていることから名付けられたともいわれています。現在は縁結びの池として伝えられています。
湧池(わくいけ)
世界文化遺産富士山構成資産番号:17 五番霊場。湧き水が豊富なことから名付けられたと考えられます。忍野八海の中でも代表的な池で、透明度が高く、透き通った青色の湧水が特徴的です。
濁池(にごりいけ)
世界文化遺産富士山構成資産番号:18 六番霊場。湧池の隣にあり、阿原川と合流している池です。かつて水が濁っていたことから濁池と名付けられたとの言い伝えがあります。昔みすぼらしい行者が水を飲ませてほしいと申し出たところ、村人が断ったため、もともと澄んでいた水が濁りだしたとの言い伝えがあります。現在は水は濁っておらず、綺麗に澄んでいます。
鏡池(かがみいけ)
世界文化遺産富士山構成資産番号:19 七番霊場。晴れた日には水面に逆さ富士が映ることから「鏡池」と名付けられました。また、物事の善悪を見分ける霊力があるとされ、昔は争いを収めるために、争っている双方が池の水で身を清めて祈願したと言われています。
菖蒲池(しょうぶいけ)
世界文化遺産富士山構成資産番号:20 八番霊場。池の周囲には菖蒲が自生しており、昔池の菖蒲を体に巻いたら病気が快復したという言い伝えがあります。
これらの池の名前には、それぞれ特徴や伝説、地形などに基づいた由来があり、忍野八海の歴史と文化を反映しています。
観光資源としての「忍野八海」
国の天然記念物、全国名水百選にも選ばれた「忍野八海」ですが、現地は飲食店や売店が所狭しと並び、観光の名所となっています。開発が進み、自然環境や水質変化も危惧されていますが、現地の人々にとっては貴重な観光資源です。綺麗で美しい「忍野八海」があるからこそ、観光客が来て食事をして土産を買っていってくれます。
忍野八海の名物
忍野八海の名物は、富士山の伏流水を使用した特産品が豊富です。現地では名水を生かした「忍野そば」をはじめとして、「よもぎもち(草餅)」、「八海せんべい」や「豆腐」などが販売されています。
忍野八海池本では、名物の「草もち」が販売されています。もち米、よもぎ、あんこはすべて厳選された国産品を使用し、水は忍野八海の湧水を使用して店内で手作りされます。その場で作り、その場で焼くという特徴があり、よもぎの香り高い昔ながらの味わいが楽しめます。
八海せんべいは、忍野八海の湧水を生地に練り込んで焼き上げた、サクサクとした食感が特徴のせんべいです。また、富士山の伏流水で作られた豆腐や、白桃ソフトクリームなども人気の名物となっています。
詳細情報
- 住所 – 山梨県南都留郡忍野村忍草
- 電話 – 0555-84-4222
- URL – https://oshino-navi.com/187-2
- 施設概要 – 湧池、濁池、鏡池、銚子池、菖蒲池、底抜池、お釜池、出口池
- 営業時間 – 規制ナシ
- 休業日 – ナシ
- 駐車場 – 乗用車50台、大型5台
- アクセス – 中央道河口湖ICから国道138号経由10分
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